Spectrasonics Omnisphere2は、2015のNAMMショーにて発表されました。
まもなく5年が経過しようとしていますが、未だにシンセ最強との呼び声が高い。
「使いこなすには一生かかる」と言われていることでも有名ですよね。
今回はOmnisphere 2を創造したエリック・パーシングという人物についてまとめてみたいと思います。
シンセサイザーの巨人Spectrasonicsとエリック・パーシング
Omnisphereを開発・販売するSpectrasonics社は、1994年にアメリカはカリフォルニア州に設立され、瞬く間に世界トップのシンセサイザーデベロッパーになりました。
創業者はエリック・パーシング(と妻のローリー)です。
エリックは音楽プロデューサー兼ミュージシャンで多忙を極めつつ、Rolandに所属して数々の偉業を成し遂げてきました。
JV-1080に代表される数々のPCM音源名機の開発、D-50の「Fantasia」、Junoの「Hoover」など、超有名な音色を作ってきた偉大な人物です。
エリックのことは知らなくても素晴らしい音色の数々は日本の音楽にも多用されているので、音色は日本人の心にも残っているはず。
あのJD-800の開発にも携わっています。ファクトリープリセットは全てエリック。かの有名な小室ピアノ(53番)も例外ではありません。
JD-800のラック版、JD-990のデモ(1曲目)はエリックが担当。個人的にシンセのデモでは今でも一番好きです。
Atmosphereの誕生
インターネットの到来、IT時代の幕開けと共にソフトウェアシンセサイザーを構想したエリックは、当時ハードウェア志向であったRoland哲学とは袂を分かつことになりました。
将来的に音楽家として生き残るための戦略としての大きな決断だったようです。最終的にはローリー(奥様)の強い後押しがあったとのこと。嫁ストップ発動せず。
ただ、当時ハード専門だったエリックにはソフトウェアのノウハウはありませんでした。
そこで、UVIの友人からサウンドエンジンのライセンスを購入し、2002年にSpectrasonics社のソフトシンセ第一弾、Atmosphereをリリースします。
サブタイトルは「DREAM SYNTH MODULE」
現在はディスコンになってますが、Omnisphere 2に音色は全部入ってます。
2008年 Omnisphere リリース
その後、エリックは自社でソフトウェア開発チームを立ち上げ、独自の技術で「STEAMエンジン」を開発。
そして「Atmosphere 2」、ではなく「Omnisphere」としてリリース。2015年には「Omnisphere 2」がリリースされ現在に至ります。
エリックは現在でも、構想・開発から現場(NAMMショー等)での売り込みまで何でもこなしています。まるでシンセ界のスティーブ・ジョブズ。
ってか、エリック自身がシンセサイザーそのものなのではないか、と思うことすらあります()
さいごに
シンセサイザーに人生を捧げた世界最高のシンセサイザープログラマー、エリック・パーシンング。
Omnisphere 2は唯一無二、現代における最高のシンセサイザーのひとつです。
少々値は張りますが、品質、一生かかっても使えないほどの音色・機能を考慮すると、買って損しない製品のひとつとして自信を持ってお勧めできます。
一家に一台Omnisphere、いかがでしょうか。
ではでは。
SPECTRASONICS Omnisphere 2(ディリゲント)
SPECTRASONICS Omnisphere 2(サウンドハウス)