Streets of Rage 4で使用されたTR-909ドラムサンプルレビュー

あのゲームの、あのドラム使いたい…！

そんな想いをしたゲーム小僧DTMerたくさんいる（いた）はず。

さて今回は「Streets of Rage 4（ベア・ナックル Ⅳ）で実際に使用されたTR-909サプルパック」ご紹介します。

ゲームミュージック界のレジェンド、古代祐三氏（@yuzokoshiro）が、SOR4の楽曲で使用されたTR-909サウンドをそのままサンプルパックにして無償配布という過去に例を見ないサプライズを実施。

自身の楽曲にレジェンドと同じサウンドを取り込めるという夢のような本当の話です。

「Streets of Rage 4」TR-909

SOR4の楽曲で実際に使用されたTR-909のサウンドをそのまま楽曲制作に使用出来るように作成されたものが、今回配布されるサンプルパックです。

本サンプルパックでは、各楽曲すべての処理が終わったfinalmixのTR-909サウンドを収録している為、このサンプルこのパックを利用するとSOR4で使用された同じTR-909のサウンドを使用することができます。

※付属マニュアルより

レコーディング、Mixを担当されたquadさん（@quad_luvtrax）によると、「実際に使用した曲のMixの音作りしたマルチから作成したもの」とのことですので、そのままのサウンドを使用することができるわけです。これはかなり貴重なのではないでしょうか。

内容は次のとおりです。

Kick2
Kick1
Snare
Hand Clap
Snare fill
Closed Hi-Hat
Open Hi-Hat
Crash Cymbal

Thanks to quad-san for sharing this. Other than the Roland TR-909 beats and triangle loops, all the phrases are not sequenced at all. Except for the legendary KORG M1 organ and piano played by AYAKI, I performed the rest of the keyboards, and controlled the TR-909! pic.twitter.com/pNk0DSTrk6

— 古代祐三 (@yuzokoshiro) April 29, 2020

日本語訳：これをシェアしてくれたquadさんに感謝です。Roland TR-909のビートとトライアングルループ以外は、全てのフレーズがシーケンサーではありません。AYAKIさんが弾いた伝説のKORG M1オルガンとピアノ以外は、キーボードを演奏して、TR-909をコントロールしました!

丹念なハードウェア処理

すべて実機のサウンドであり、さらに丹念にハードウェア処理がされています。

Roland TR-909のパラアウトから

プリアンプ AMEK CIB(with EQ)、Neve 3415

イコライザー API 550a、Trident 80B 500EQ、Neve V1 EQ

リミッター dbx160X(USA ver)、SHEP2254、AMEK 9098CL、Urei 1178

これらの各アウトボードを経由して最適な音色になるように録音しました。

特にキックとスネアはdbx160X(USA ver)リミッターを使用しています。

※付属マニュアルより

徹底した拘りですね。一つ一つの音の単価がとても高いです。

ここまで徹底した音作りの詳細が明かされたTR-909サウンドもなかなかないのではないでしょうか。まさしく謹製のサンプル。

音について

濃厚な実機サウンドが、丹念にアウトボード処理されているため、圧倒的な存在感があり、太く埋もれないサウンド。単音で鳴らしてもとても頼もしい質感です。

Some guys might remember this video the Roland TR-909 is playing. I wanted to use this authentic stuff for SOR4 tracks as the previous trilogy used it sampled. And @quad_luvtrax added some sound magic he has experienced for 30 years of the House history to make them sound legit. pic.twitter.com/KsHdY8kJnj

— 古代祐三 (@yuzokoshiro) April 9, 2020

日本語訳：ローランドのTR-909が再生されているビデオを覚えている人もいるかもしれません。これまでの3部作ではサンプリングされたものが使われていたので、SOR4のトラックにはこの本物のものを使いたかったんだ。そして、quadさん（@quad_luvtrax）が30年のハウスの歴史の中で経験してきたサウンドマジックを加えて、本物のサウンドに仕上げてくれました。

これはTR-909通も唸るクオリティではないでしょうか。即戦力として楽曲に投入してもグッと華やかになります。

再配布について

本サンプルパックをそのままの形、または改変して営利目的での再配布を禁止します。本サンプルパックは商用もしくは非営利の自作楽曲、音楽制作への使用に限り許諾します。

商用・非商用ともに楽曲制作に使用することが可能です。

レコーディング、Mix、MIDIデータの調整、サンプルパック制作をされたquadさんも「皆さんの楽曲制作に役立つと嬉しい」と仰っています。

このNI Kontakt 5で使用可能な4つのキットを含むTR-909のサンプルパックは私が作成しました。
サンプルパックのドキュメントに記載されている通り、HA、EQ、リミッターといったアウトボードを多数使用し、古代さんのイメージするSOR4サウンドを作成しました。

— quad (@quad_luvtrax) April 30, 2020

Kontakt対応

Kontaktで使いやすい配列で設定されています。

Wavファイルも用意されているので、必ずしも必要はないのですが、Kontakユーザーは手軽にMIDIで鳴らせるのが嬉しいですよね。

楽曲について

動画の中でもお話されているのように、Streets of Rageには当時の音楽を求めているファンが多い事もあって、当時の音源を使用して当時できなかった音楽を再現されたとのことです。

本日ベアナックル4が発売いたしました。５曲担当させていただいてる中から１面BGM「They’re Back」の制作画面です。実機TR-909とStylusRMXのトライアングル以外は全て演奏によるもので、シンセもほとんどが90年代当時までのもの。その時代に近い手法で制作しています。 https://t.co/OmHYjyk0qC

— 古代祐三 (@yuzokoshiro) May 1, 2020

今回は私や川島さん以外に日本や海外からたくさんの作曲家が参加されています。メインコンポーザーはフランスのオリヴィエさん@oderiviere 、皆さん素晴らしい個性的な楽曲を提供していますので、私はあえて「誰が聞いてもベアナックルだ!」というサウンドを目指しました。よろしくお願いいたします。

— 古代祐三 (@yuzokoshiro) May 1, 2020

音色を80～90年代の音楽や機材に馴染みがある方はニヤニヤしてしまうこと間違いなしです。

今回はたくさんの作曲家がいますので、当時の作曲家を代表して、当時の曲に近いものを作ることが使命だと思って制作しました。誰がどう聞いてもベアナックル! という感じですね。

初代からのベア・ナックルファンも、旧作を知らない現代のゲーマーにも受け入れられる楽曲が詰まっています。

こちらは川島さんの楽曲。

This is my SOR4 sound! I use many FM plugins and combine them!

本日発売のベアナックル4（Streets of rage4)の僕の担当曲のDAW画面です！
FM 系のプラグインを組み合わせて作ってます。#sor4 #ベアナックル4 pic.twitter.com/OtYqdIXThe

— 川島基宏_Motohiro.K (@mvorak) April 30, 2020

さいごに

TR-909マニアな方、SOR4ファンの方、古代祐三氏が好きでたまらない方は必須のサンプルパックです。

学生の頃は「あの曲に使われているドラムは何だろう？」「どうやったらあんなサウンドが出せるのかな？」なんて思っていましたが、ご本人自らが配布されるという…まさに、夢のような凄い時代になったものですね。

そりゃアクセルもすっかりヒゲオヤジになるのも理解できます…ｗ

楽曲制作にお役立て頂きたいとのことですので、是非是非使ってみてください。

ダウンロードは古代さんのツイートからどうぞ。

I’m willingly providing the sample packs of the TR-909 programmed by quad-san that used actually in my tracks of SOR4. You need the Kontakt player and a DAW at least, but use them as simply wav files on your track as well. See the doc for the details. https://t.co/moroyUhqeK

— 古代祐三 (@yuzokoshiro) April 30, 2020