ACCUSONUSからAIを搭載したビートメイクプラグイン「Rhythmiq」がリリースされました。
AI搭載に加えて、リズムマシンとしての設計に非常に工夫がされています。
手持ちのループ素材を生まれ変わらせ、全く新しいアプローチで有効活用できる可能性を秘めていると感じました。
使い方などを中心にレビューしていきたいと思います。
AI搭載リズムマシン、Rhythmiq
https://www.youtube.com/watch?v=eqM4MDmBjbI
AI技術をベースにした、ループ素材をインテリジェントにアレンジして、新たなフレーズを生み出すプラグインです。
機械学習により、手持ちのループ素材を読み込むだけで、帯域別に自動分割し、編集を可能とする機能など、リズムマシンの新たな可能性を提案。
テンポの異なるWAVファイルを複数読み込む場合も、DAWのテンポに統一してくれるのが嬉しい。
外観
ざっくりとしたGUIの見方です。
- マスターディスプレイ 読み込んだリズムを表示
- BEAT ASSISTANT AIを使用してリズムパターンを生成・加工(後述)
- STEM A~C リズムを3つのSTEM(低域・中域・高域)に分解
- SCENES リズムごとに6種類のパターンが表示。アレンジしたリズムを保存可能
- リズム一覧 サウンドを選択
BEAT ASSISTANT
Rhythmiqのメイン機能のひとつ、AI技術を活用した、[BEAT ASSISTANT]。プリセット及び読み込んだループに新たなリズムを加えたり、全く新しいものに生まれ変わらせる機能です。
- IQ ARRANGE アレンジが加えられリズムパターンが複雑化する
- IQ EVOLVE ランダムパターンが変化し続ける
- IQ REVERSE リズムの一部を反転させる
[BEAT ASSISTANT]は、A~Cの3つの[STEM]に適用されますが、それぞれON/OFFが可能。
[IQ ARRANGE]はすべてをONにした状態だとやり過ぎ感があるので、1~2の[STEM]をONにした状態の方が一般的に安定したリズムになります。また、[REVERSE]は控えめが推奨されています。
インポート機能
手持ちのループ素材をRhythmiqに取り込み、AI機能を使用すれば、全く新しいサウンドに生まれ変わらせることが可能です。
読み込むファイルを選択すると、3つのステムに分割するか、分割せずに1つのステムに読み込むか選択できます。
3つのSTEMに自動分割した場合
3分割する精度はループ素材にもよりますが、概ね問題ないですね。Aが低域(キックなど)、Bが中域(スネアなど)、Cが高域(ハイハットなど)です。
[BEAT ASSISTANT]で新たなフレーズを生み出す、というスタンダードな使い方の他にも、[STEM] Cのハイハットだけを消す、間引く[SILENCE]、増やすなどが簡単にできるわけです。
1つのSTEMに読み込んだ場合
[STEM] BとCには他のループを読み込むことが可能となります。
読み込んだサンプルをDAWのテンポに合わせてくれるため、全く異なる3つのループを読み込んで、組み合わせることも容易にできるんですよね。
[ARRANGE]でパターンを変えて、[SILENCE]で間引きを行うだけでも、直感的にパターン作成ができました。
ループ素材だけでなく、ワンショットを読み込んでも自動的にリズム隊にしてくれるのも◎。
音について
エンジンの性能は非常に高くクリアなサウンド。読み込んだサンプルも忠実に鳴らしてくれます。
デフォで用意されているループは50種類です。公式サイトにて、Expansionパックを無料でゲットできるのでもらっておきましょう(プラグインからリンクでとべる)。足りなければ有料製品もできます。
使い方としては手持ちのループ素材を読み込んで加工していく方がメインになるのではないでしょうかね。買うのはそれからでも良いのかなと。
負荷はそこそこ高い
負荷は高めです。リアルタイムでパラメーターを動かすと更に負荷がかかるので、環境によっては再生を止めつつ調整を行ったほうが良いかもしれません。
[BEAT ASSISTANT](IQ ARRANGE、IQ EVOLVE、IQ REVERSE)をフルにするとこのくらいCPUを使用します。
Windows64bit(Core i7 3.2G)、メモリ32GB環境での計測です。
さいごに
ビートメイキングをAIに提案してもらい、楽曲に合うように整えていく、または提案されたリズムを基に楽曲を作り上げていくことができる新時代のドラムマシンです。
IQのパラメーターは強くかけ過ぎなければ破綻することなく、しっかり使えるリズムになるので、今までにないアプローチが可能ではないかと。
とにかくAIが賢いです。増やし方、間引き方などが秀逸。
1つのループ素材から無限にリズムを生み出せるので、コストパフォーマンスはかなり高いと思います。手持ちのループ素材をどんどん読み込んで加工していくのがとても楽しいです。