ヴィンテージシンセバンドルの最高峰、UVI Vintage Vault 2がリリースされました。初代バンドルに新作のシンセを複数追加し、完全にプラグイン界屈指のモンスター級音源と化しとります。
これさえ買っとけば、シンセにおいてはだいたいのことは事足りますw
もちろん量だけではなく、UVIの拘りや音の良さが随所に見られる仕上がりとなっていて、本当に使える音源に進化した、と言い切ってしまいましょう。
Vintage Vault、ってかUVIよく知らないって方もシンセ沼に引きずり込むためにしっかり良さを訴えていきます。
Vintage Vault 2とは
https://www.youtube.com/watch?v=kbzmKriuzOA&feature=emb_title
Vintage Vault 2は、バーチャルアナログではなく、サンプリングベースの音源です。ちなみに「Vault」とは「宝庫」で良いと思います。
51種類のインストゥルメント、111種類のドラムマシン、合計7,974のプリセット(313,858サンプル)が内包されており、総容量は116GB。ヴィンテージシンセを再現するバンドルとしては、質・量ともに最高峰です。
何故、バーチャルアナログではないのか?UVIにはサンプルに拘りがあるのです。
サンプルをベースにした理念は、長い経験によってUVIが出した結論です。ビンテージハードウェアのサウンドの質感や魅力を得るには、そのものを収録したサンプルを使うのが最も忠実です。
この理念は初代Vintage Vaultがリリースされる以前から一環してUVIに根付いています。再生エンジンは他社製のものではなく、UVIオリジナルでUVI WorkstationもしくはFalconを使用します。
UVIエンジンは、Spectrasonics Omnisphereの前モデル、Atmosphereにも採用されていたほど品質が高く、歴史も古いです。
Spectrasonics Omnisphere2 USB版 シンセサイザー音源 (スペクトラソニックス) 本数限定特価 国内正規品音質の問題が一番重視されるべき問題ではあるのですが、無論、使用する環境も考える必要があります。CPU食いのシンセなどは、質が良くてもどうしても手が伸びないんですよね。軽いってだけで使ってしまうプラグインがあるのも事実です。
Vintage Vaultはプリセットによってはポリを弾くと負荷が大きいものはあるものの、高音質ヴァーチャルアナログシンセのように、VEP使わないとムリwってことはありません。許容範囲内です。
ただ、ストレージを圧迫するのは間違いないです。ぼくの環境でも、そろそろ他の大容量サンプル音源も含め、専用のSSD導入を検討しています。
追加された7つ製品
Vintage Vault 2になって、次の7つの製品が追加されました。
- Cameo
- Digital Synsations vol.2
- OB Legacy
- PX Apollo
- UVS-3200
- UVX80
- BeatBox Anthology 2
7つといっても、Digital Synsations vol.2には3種類、OB LegacyやCameo、BeatBox Anthology 2は複数の音源からサンプリングされているので、実質数十種類増加したと言えます。
新シンセレビュー
OB Legacy
今回のバンドルのキラータイトルである、同時発売のOB Legacyです。Oberheimのシンセサイザー6機種を内包しています。人気のシンセを同時発売でバンドルにブッ込んでくるあたりが商売上手ですねw
Oberheimを再現したシンセサイザーは、ヴァーチャル、サンプルともに多数世に出回っていますが、それらと比較しても非常に生々しく、太い。良い音です。
山木さんも絶賛されていますね。
Beat Box Anthology 2
Beat Box Anthology 2は、Batteryと同じ音色を比べても音が太いというか、こちらの方がローがしっかり出てます。再生エンジンの違いもさることながら、サンプルの質ですかね。
一音一音が芯があって太く、まさにハードっぽい質感です。必要以上に音量を上げたりしなくても存在感があります。しかもクリア。
Digital Synsation 2
Digital Synsations 2には、DZmo(Ensoniq Fitzmo)、DK5S(KAWAI K5000S)、そしてJD-800とJD-990を足して2で割ったようなネーミングのDS-890が内包されております。
そのDS-890ですが、GUIはJD-990寄りですなw
JD好きとしては語らずにはいられないので語りますw
一応、JDピアノも何種類か入っているのですがオマケ程度ですね。Synth Anthology 2のJDピアノの方が断然良いです。もちろん、わかってて同じようにしていないのだとは思いますが。柔らかい感じです。
JDピアノはおいといて、他の部分についてはハッキリ言って実機のファンは肩透かしを食らうかもしれません。いくつかは「あー」と思う音もあるものの、やはりJDの実機は偉大だなと思った次第。
実機と切り離して「JD風」というのであれば納得するといった感じです。実機を愛用していただけに他のシンセより比較的辛口になってしまっているのかも。
しかし毎回思うのだけど、実機知ってる人なら絶対わかると思うのですが、あのディストーションがかったリードってどのサンプルにも入っていないんですよね・・・。全鍵サンプリングしても難しいのだろうか。
ちょっと酷評気味になりましたが、別物のシンセとして使おう、うん。
他の2機種ですが、こちらはあまり実機の音に馴染みがないので比較云々ができなくてアレですが、良い感じです。音抜けも良く、個性ある音で気に入りましたwそのうち個別でレビュー記事書くかも、しれないw
UVX80
80年代にAKAIが作ったDCO+アナログフィルターの「デジアナシンセ」AX80を再現したUVX80です。短命で終わったため、見たことないって人も多いらしい。
音はいかにもアナログとデジタルの中間といった音で、アナログ過ぎずデジタル過ぎない非常に耳障りの良い音です。RolandのJXとかと近い音かも。
特にIntarnal Presetのデキが非常に良くて、どれも即戦力。使いたくなる音がたくさん入ってます。これは気に入りました。
UVS-3200
名機Korg PS-3200ですね。YMOのライディーンとかテクノポリスとかで使われたとかなんとか。鳴らした瞬間に「アナログシンセの良い音だ!」って思えるシンセです。
ヴィンテージアナログシンセには、結構使えないプリセットがたくさん入ってることもしばしば。UVS-3200は一味違います。元の音質も良いのか、使えそうな音が多いです。いかにもでありながら、しっかり使える音という。
GUIも良いし、好きですこの感じ。
ソリッド・ステイト・サヴァイヴァーCAMEO
CAMEOは持ってましたw
UVIのスタッフもお気に入りという、フェイズディストーションシンセです。
「UVIの中の人たちは、とてもCZシリーズが好きなんだそうですよ。CZマニアだと公言しています」そんなこと知ったらポチらずにはいられない> UVI CAMEO. #UVI https://t.co/Sfw68WWSh0 @yamaki74さんから
— ゆにばす(シンセサイザー/ゲーム音楽) (@universe_ex) 2016年5月16日
Casio CZシリーズの6機種(CZ1、CZ101、CZ1000、CZ2300S、CZ3000、CZ5000)からサンプリング。GUIは3種用意されていて、時代を感じる角張った雰囲気もしっかり用意されてて萌えますw
で、3種のGUIはそれぞれ役割があり、「CZ」は実機のサウンドを再現、「CX」は実機とUVIのサウンドの融合、「CM」はフェイズディストーションを現代の音に昇華した音色群となっています。豪華w
CZマニアたちが作っただけに非常にこだわった音源なのです。
音色はデジタルとアナログを融合させた個性的な音で、インスピレーションが刺激されます。金属的な響きでアタックの早い音や、独特の存在感を持ったアナログシンセのような音色も豊富。それでいて使いやすいプリセットが多いのも特徴です。
PX apollo
70年代初期のアナログシンセPX apollo。鳴らした瞬間に「おおー暖かい」となりますw
いかにもヴィンテージアナログという音が欲しい方には文句なしにオススメできます。中途半端な感じではなく、振り切った音作りです。ハマる人はハマりそう。
用途は絞られるかもしれませんが、唯一無二な音。
さいごに
シンセ好き、とりわけ「アナログだけじゃなくてデジタルシンセも好きだぞコノヤロー!」って方は絶対買いです。もうハードシンセ立ち上げなくて良いんです。それだけでも買う価値がある。音が全く同じとは言わないけど、かなり近い音は出ます。
これで満足できなかったら、自分でサンプリングするしかないですよ。
個人的には合わせてSynth Anthology 2(シンセ77機種)を買えばもうかなり満たされると思います。
それではシンセ沼にハマる人が増えることを祈願しましてこれにて終了!
ではでは。