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クリエイターのほとんどは「普通の人」である【徹夜しないで人の2倍仕事をする技術三田流マンガ論】

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ドラゴン桜」や「クロカン」でお馴染み、漫画家三田紀房氏の著書「徹夜しないで人の2倍仕事をする技術三田流マンガ論」をご紹介します。

金言だらけの本書ですが、個人的にブッ刺さったところをピックアップしました。

三田氏はもともとマンガ好きだったわけではなく、アシスタントの経験もせずに漫画家になったという、いわゆる「普通の漫画家」ではありません。

私は30歳で初めてマンガを描いた。全くの素人で、マンガ家になりたかったわけではなく、はっきり言ってしまえばマンガが好きなわけですらなかった。子どものころに自腹でマンガ誌を買った記憶もない。大学では政治経済を学び、卒業後は西武百貨店に入社してごくふつうのサラリーマン生活を送っていた。

はじめは、あくまで「仕事」として「お金の為」に職業として漫画家になろうと思ったという、三田さんならではのクリエイター論がめっちゃ刺さります。ヤバいです。

※この記事は2020年2月4日の投稿されたものに、加筆修正したものです。

クリエイターは特別な人種ではない

 

世間の人たちは、なぜマンガ家、いやクリエイターが〝敷居の高い職業〟だと思い込んでいるのだろう? 確かに、クリエイターの中には本物の天才が存在する。映画界でいうジョージ・ルーカスや黒澤明のような人たちはまぎれもない天才で、彼らが生み出す作品は素晴らしい。凡人には手が届かないレベルだ。しかしそれはごく一部で、業界の裾野を支えているのは、その他大勢の「ふつうの人」もしくは「それ以下の人」たちである。

わかりやすい例をあげるならば、音楽界で宇多田ヒカル氏は誰もが認める天才。

環境にも恵まれ、努力をしているに違いはないのですが、やはり才能なのです。

特に10代で世に出て世界的に売れるとか選ばれし者としか言いようがない。

ただ、音楽界がそんな超人ばかりで成り立っているかというと、そんなことはないですよね。

特別視することなく、他の業界と同じように考えるとなんとなくわかる気がします。

三田氏が言うように、どの業界にも優れた才能の人物はいるが「ふつうの人」の方が多いわけで、もしかしたら才能のない人もいるのかもしれない。

とりわけクリエイターの世界は優れた方のみがメジャーになっているように感じてしまいますが、視点を変えると見え方が変わってきます。

自分でも作れるという視点で見る

考えてもみてほしい。書店に行けば、びっくりするほど稚拙なマンガや小説が平気で棚に並んでいる。テレビドラマや映画だって、見ていられないくらい下らないものがいくらでもある。それに対して、皆さんはよく「つまらない」と文句を言っているではないか。それはつまり、「自分でもこのくらいのレベルのものを作れる」ということだ。実際、クリエイターは特別な人種ではなく、なろうと思えば誰でもなれる。

「プロは必ずしも自分より優れている」というのは思考停止かもしれない、ということ。

根拠なく「自分もできるのでは?」と考えたって良いわけです。

心の中で”思うだけ”は自由なので「コイツには勝てる!」って人を探して「全力」で倒しに行く作戦はどうでしょうかw

そう考えると、なんだか楽に考えられるようになってきませんか?

うまくいかないときの「自分でもやれる」という前向きな気持ちは、非常に大事だと思うんですよね。

「勝てる!」と思った人にすら勝てなかった場合は、何が足りなかったのか分析して、何度でも挑めば良い。

空席を見つけて勝負する

 

漫画業界というレッドオーシャンの中で、全く経験のない三田さんはどうやって立ち回ったのでしょうか。

私のマンガは、「空席」をみつけて成功してきた。 例えば大ヒットとなった『ドラゴン桜』。いまでこそゆとり教育の弊害が叫ばれているが、連載当時は個性を尊重したのびのびとした教育が理想とされていた。そんな〝ゆとり教育全盛時代〟に、あえて主人公につめ込み教育を施し、東大を目指させる設定にした。 

世間みんながゆとり教育を絶賛しているとき、逆の意見を言う人間は少ない。そこは世間の「空席」になっている。私は当時から、ゆとり教育の理念は間違っていないとしても、勉強の基本はやはりつめ込みだと信じていた。実は心の底で同じように思い、風潮に乗り切れない人は多かった。その「言いたいけど言えない意見」を先取りしてマンガに描くことで「よくぞ言ってくれた!」というカタルシスと共に人気を得たのである。

他の人がいない「席」を取りに行く、いわゆるポジション取り。これだけならやれそうな気がしますね。

ただ、そうは言ってもそこで勝ち抜いていくことは簡単ではありません。難しいからこそ空席になっているのです。

これは世界のゲームクリエイター宮本茂氏や、お笑いのカリスマ松本人志氏が言っている、オリジナリティと通ずる気が。

「オリジナリティ」が難しいことではなくて、オリジナリティがあり、尚且つ広く受け入れられる事が難しいのです。

松本人志×宮本茂の対談で語られた創作の真髄創作活動を行う上で、人や創作物から刺激を受けたり、インスパイアされたりすることはとても大切です。 良い曲に出逢ったり、仲間が曲作ったり...

一見レッドオーシャンと思われる中にも必ず突破口はあって、要はやり方次第、考え方次第。

こう考えると、なんとなくではありますが、自分のできることが見えてくる気がしますよね。

後から参入したからこその考え方・やり方

三田氏は、小説家の森博嗣氏とすごく似てる部分があります。

森氏は38歳で小説家デビューされ、普段から小説は読まないのに、ベストセラーを書いてしまうという異端な経歴の持ち主。ただの神か…。

若いころからその道にどっぷりつかっているのではなく、ある程度他の業界にいて大人としての考え方が身についたあとに、クリエイターになったという部分が共通しています。

良い意味で業界特有の既成概念やこだわりなどが無く、常識にとらわれない発想が結果として現れているのかも。

業界人からすると「なんて大胆なんだ」とか「冷めてる」とか思われることもあるようですが、ご本人はいたって普通。

「成功する人は自分の好きなものを知っている」【森 博嗣著「作家の収支」を読んだ】

「若いころからやっていないと・・・」「もう歳だから・・・」

ってのは全く関係ないんですよね。むしろ客観的に分析ができることを最大の武器にしているという。

こういう部分からも勇気をもらえる方はたくさんいるのではないでしょうか。

さいごに

主題とはちょっと離れた部分をピックアップしたので、興味が湧いた方は、ぜひ本を読んでみてください。

価格安いし、文量もほどほどでサクっと読めます。でも内容はめっちゃ濃い。

好きなことだからこそ、一歩引いて、客観的に分析し「どうすればよいのか?」と考えることの大切さを教わりました。

そして今の自分にもまだまだやれることがあるのではないか?そんな気にさせてくれる本です。

くれぐれも「もしかして、三田さんが天才なだけじゃね?」ていう風には考えないようにしましょう。

ではでは。