多くの音楽家やクリエイターから支持を集める法律の書「弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール」の第2版が、この度最新の情報をふんだんに盛り込みリリースされました。
法律というと堅苦しく、難しいイメージがありますが、本書は「法律初心者でも楽しく読める!よくわかる!」と帯にも記されている通り、非常に読みやすい設計になっています。
丸みを帯びた文字体、豊富なイラスト、話し言葉のような平易な言い回しなど、さまざまな工夫がこらされていて、まさにタイトルどおりの「やさしく教える」が体現され、筆者の人柄までも感じ取れる気がしました。
「とりあえず読んでみよう」そんな気になるんですよね。これはとても重要なこと。
前作同様、音楽・動画クリエイターはもちろん、制作に携わるすべての人に読んでほしい一冊に仕上がっています。
今回のレビューでは、主に第2版でアップデートされた内容についてご紹介していくので、是非最後まで読んでみてください。
弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール 第2版
高木先生より特別に許可を頂き、目次を全公開いたします。目次は全5ページあるのでじっくり目を通してみてください。
いかがでしょうか?一つは気になった項目が見つかったはずです。
第2版となる本書は、音楽業界でも欠かせない話題となっている「AIの利用」や、個人活動のクリエイターには難しいイメージのある「企業案件の契約」などが追加。
そして、第1版で質問の多かった箇所の掘り下げや、より踏み込んだ内容の加筆が施され、特に個人で音楽活動をしているクリエイターの心強い味方となるバイブルにアップデートされているのは嬉しいですね。
それでは、第2版でアップデートされた部分を中心に一部抜粋してご紹介させて頂きます。
第1版のレビューはこちらです。是非合わせてどうぞ。
カラオケ店での「歌ってみた動画」は違法なの?
歌ってみた動画について検索してみると「アップロードするSNSによっては大丈夫!」「楽曲によってはダメ!」など、様々な見解、推測などが散見されますが、著作権についての議論が多いように感じますね。
本書では、著作権以外の様々な権利について解説されているので非常に勉強になります。「そんな権利まであるの?」と思う方もいるかもしれません。
意図はなくとも、知らないうちに権利侵害はしたくないですし、動画の差し止めや、最悪の場合訴えられるなんてことになると身も蓋もありません。
特に歌ってみた界隈の方はしっかり読んでおきましょう。
企業案件を受けるときの契約は?
クリエイターは個人活動されるケースが非常に多く、企業対個人の契約も珍しくありません。
本項では、契約内容、ステマ、詐欺広告など、様々な事例をふまえて「企業との契約はこういったものである」「こういった部分に気をつけなければいけない」という全体を俯瞰できる内容になっています。
また、Chapter 3「契約・トラブル編」の、契約書の作り方では、図解付きでの解説に加えて決めておくべきポイントなども記されているので、これだけでも本書を買う価値あるなと感じました。
「やったことないからよく分からない‥」では契約は成り立ちません。
専門家の知識を基に準備をしていれば、クライアントとの信頼関係をより強固なものにできるはずです。
AIを利用した音楽・動画制作の問題点は?
AIの進化は日進月歩で、その進化には驚くばかり。
AIによる学習・生成は、映像・音楽をはじめとるすクリエイター業界にも大きなインパクトをもたらす反面、様々な問題があるのも実情で、各方面で議論が展開されています。
AIによる著作権侵害、AIを活用した創作物で著作権は得られるのか、それぞれ事例を交えて解説してあるため、全体像が理解できるはず。
印象的だったのは、次の部分です。
「自分の著作物だ」と説明できるようにしておくことが重要
AIの生成物を見破るツールなども登場していますが、現時点での最適解は自身での説明しかないし、個人的には将来的にも同じではないかと予想しています。
高木弁護士とは?
動画・音楽関連企業、ゲーム会社、タレント事務所、デザイン事務所などをクライアントとし、著作権法を中心とするエンターテイメント法務を取り扱う。テレビ出演、新聞・雑誌・インターネットメディアへの寄稿、企業・学校・自治体などでの講演も積極的に行う。作曲家として、主にアイドルへの楽曲提供を行っている。
「Just a moment」HKT48 作曲
「憧れで終わらせるな」桃色革命 作詞・作曲・編曲
「恋は溶けてくIceCream」桃色革命 作詞・作曲・編曲
「夢見がちCONFLICT」アオハルクエスト 作曲・編曲
「こっちおいでshowtime!!」てぃんく♪ 作曲・編曲
その他多数
※弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール より抜粋
高木先生は弁護士でありながら作曲家という大変稀有な存在で、音楽法律の専門家。
弁護士を本業としつつも、楽曲提供やメディアへの出演を行なっておられます。
音楽の現場を知っている方だからこそ、書ける本ではないかなと。
第2版「弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える音楽・動画クリエイターの権利とルール」、遂に完成しました。春らしいピンクのジャケットです。ジャケットデザインはタラコデザインさん。
帯には、今回新たになんとアンジェラ・アキさんにとても素敵なコメントをいただきました pic.twitter.com/gbXU5Mdpqp— 弁護士 高木啓成⚖️🎼 (@hirock_n) March 27, 2024
X(@hirock_n)
さいごに
インターネットでは様々な情報が入手可能な一方、信頼性の高い情報を選び出すのは容易ではありませんし、特に、音楽業界の法律といった専門性の高い分野となると、さらに難易度は高くなります。
曖昧な認識や憶測で活動を行ってしまうと、意図せずともの権利を侵害してしまう可能性もあるので気をつけたいですよね。
正確な情報を得るためには、専門家からの情報収集が最も効果的ですが、法律の専門家といえども音楽業界や最先端の現場事情に詳しい方ばかりではないでしょう。
本書はまさに”法律とクリエイターの架け橋”です。
ではでは。
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