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努力し続けることを苦にしないことが、もっとも大事な才能【谷川浩司著 集中力】

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「DAWを開いただけで、twitterばっかりやってる俺はどうやって集中力をつければ良いんだ・・・」とお悩みの方にオススメの本をご紹介です。

棋士の世界がとても好きです。哭きの竜よりも、月下の棋士派。棋士は思考力の強い方ばかりですから非常に面白く興味深い。

今回ご紹介するのは「光速の寄せ」でおなじみ、プロ棋士谷川浩司氏の著書。

クリエイターにも役に立つエッセンスが詰まっている良書なので、抜粋してご紹介したいと思います。

※この記事は2016年2月15日に投稿されたものに、加筆修正を行いました。

集中力は持って生まれた才能ではない

盤面をジッと見つめて熟考する棋士の姿には「集中力」という言葉がピッタリですが、プロはどのようにして集中力を高めているのでしょうか。

集中力を発揮できることは、私や羽生さんだけではなくトッププロの条件なのだ。集中力は持って生まれた「才能」とは違う。好きなことに夢中になれるという誰もが子どもの頃から持っているものなのである。

「将棋では、才能と努力のどちらが必要ですか」という質問をよくされるが、アマチュアの人が強くなるのに才能はそれほど必要ではない。時間をかけて勉強すれば、何歳からでも、アマチュア初段にはなれるだろう。

才能という言葉が必要になるのは、ある高さまでいってからで、努力によって自分の力を最大限まで高め、その限界を乗り越えようとする時に、初めて才能というものが必要になってくるのではないだろうか。

その意味で、プロ、それもトップレベルのプロになるためには、最終的には才能も必要だ。しかし、才能というと、天性のもののように思えるが、私は、最初の気持ちをずっと持ち続けられることと、一つのことを努力し続けることを苦にしないことが、もっとも大事な才能であると考えている。

すごく勇気をもらえる言葉ですね。

初心を忘れない、気持ちを持ち続けることが最も大事であり、それ自体が才能である。

つまり、誰でも気持ちさえ持ち続ければ「ある程度の高さまでいける」ということですね。

裏を返せば、努力でいけるのは「ある程度」まで。それ以上は選ばれしモノでなければいけない、ということもハッキリ書いてしまう谷川先生であった。

考えるのと迷うことは違う

ただ時間を費やして考えているだけでは意味がないのだ。何を何のためにどう方向づけて考えるのか。思考とは結果を導き出さなければ、ただの時間の無駄遣いでしかない。

強い棋士は、三通り、場合によっては、ぱっと閃いた一手が最善手ということもある。弱い棋士は何通りもの手が浮かび、指し手に迷ってしまうのだが、迷うことは、間違える可能性が高くなるということなのだ。

将棋に限らず「ああでもない、こうでもない」と迷っていては「へたな考え、休むに似たり」になってしまう。理屈や言葉で了解する前に、「ピンとくる」「なんとなくわかる」と感じる直感がまず働き、その後に対象を考える。思考力を養うには、そこにいたる道筋をいかに短くするかが重要である。

「考えること」と「迷うこと」は違うと。ロジカルにものごとを考えていかなければ時間のムダ。

強い棋士ほどたくさんの棋譜が頭の中に入っているので、多くの選択肢から選んでいるものとばかり思っていましたが、弱い棋士ほどたくさんの選択肢が浮かぶ。

強い棋士は、不要な手をサッと捨てることができる。残った少ない選択肢から選ぶので、迷う可能性も低いし失敗する可能性も低い。

こういう話になると、毎回シンセを増やさない方が良いのかなと思ってしまいます(買うよ、買うけど

【DTM考察】シンセが増えると作る曲の数が減るのか?曲をつくるためにシンセサイザーを買ったつもりが、曲は一向に増えずシンセばかりが増えていく・・・。そんな現象に陥ってる人・・・いるだろ!君...

情報は使いこなさなければ意味がない

いくら多くの情報やデータを収集しても、それだけでは、先は読めないと思っている。もちろん、専門家には専門家の見方や考えがあってのことだろうが、先を読むのが仕事の棋士から見ると、情報をどんなにたくさん集めても、ロジカルに分析するだけでは情報におぼれるだけということを経験から知っているからである。

情報収集に便利にはなったが、情報に頼るだけでは勝てない。それに何をプラスできるかということが勝利の必須条件である。そして、常にプラスするパワーを持ち続けないと、トップには決してなれなくなってしまったのである。

音楽教則本を買ったり、音楽を分析したり、人の活動を見たり、シンセを増やしたり、インプットしているだけでは何も変わりません。

自分自身でプラスアルファをしてアウトプットしていくことが重要。修練を重ねて無意識レベルで最適な方法を導き出せるようになれることが理想です。

では、どのような心構えでインプットしていけば良いのでしょうか。

常に疑問を持つこと

「強い人が指しているのだから、悪い手を指すはずがない」という目で見がちだ。しかし、それではなにも身につかない。

過信してただ見るのと、「どうして、なぜ?」という疑問の目で見るのでは、問題点の発見、考え方の身につき方がまったく違ってきてしまうのである。

「こうあるべきだ」という思考からは柔軟な発想は生まれないのだ。当たり前の中に隠された物を探り出そうという発想が、固定観念を打破するもとになるのである。

結果が出ている人の活動を見て、鵜呑みにするなと。

プロの作品を何も考えずに聴くのと、なぜこういった音なんだ?と考えて聴くのでは確かに違います。

既成概念に囚われないことが、オリジナリティに繋がりますよね。

まず、記憶しようと思うこと

以前紹介した「企画脳」で秋元康氏も書いてますが、記憶することが大事であると谷川氏も書いてます。

一番良いのは、まず覚えること。それから、いったん白紙に戻して、自分の頭で考えることである。

情報やデータは、量を手にしただけでは、ただ振り回されるだけ。自分で利用法を見つけだし、考えることこそが大切である。

インプットしたものをそのまま使うわけではなく、自分の頭で考えてアウトプットしていくと。

自分なりの戦法や思考法ができてくると、大切なのは情報量よりも閃きや判断力だ。三十歳を過ぎてもっとも怖いのは、考えるときに、先入観を持って〝手抜き〟してしまうこと。経験という名の〝安楽病〟にかかってしまうのである。

物事を推し進めていくうえで、その土台となるのは創造力でも企画力でもない。いくら創造力や企画力を働かせようとしても、道具となる知識や材料となる情報がなければ何も始まらないのだ。知識は、頭の中に貯えられた記憶の体験が土台になるのである。

つまり、創造力やアイデアの源は、頭の中の記憶の組み合わせから生まれるもので、その土台がしっかりしていなければ、良いアイデアが閃くわけがないのだ。

発想は天からは降ってこないということ。しっかり勉強をして土台づくりをしなさいということですね。

記憶するためには集中すること

ものを覚えるのにもっとも必要なのは、集中力である。プロの棋士が五年前、十年前の自分の棋譜を記憶しているのも、将棋に集中して取り組んできたからにほかならない。

一回きりしかないと覚悟を決めると集中でき、記憶力は増すものである。

ダラダラやっていると記憶されるものもされません。

心で覚えろという言葉を聞いたことがありますが、情熱を持って真剣に何事も取り組めば記憶されやすいのかな。

うろ覚えの知識では、どこかに穴ができて先に進むことはできない。何事でも、一つ一つをしっかり理解し、「わかった!」からスタートすることが、思考を進める必須条件なのである。

とくに物事をより良いかたちに推し進めよう、効率よく処理しようと思ったら、思考力や想像力の土台になる記憶力をトレーニングする必要があるのだ。

記憶力をよくするには、まず、記憶しようと思うことだ。たとえば、メモや手帳に頼りきっていないだろうか。もちろん、必要不可欠な数字、私の場合でいえば、対局の日時などは控えておく必要があるが、それ以外のことは、できるだけその場で真剣に聞き、覚えようとすると、頭は活発に動いてくれる。

動画、ニュース、DAW、音楽鑑賞と、何でもすぐに後戻りがきく便利な時代だけに「記憶しようと強く意識する」ことって意外と見過ごされているのかもしれません。

人間は生まれつきの能力の差はほとんどないのだ。とすれば、繰り返し以外に道はない。

一朝一夕にことがなせるというのは、幻想の世界のことだと、しっかり覚えておくことである。

さいごに

谷川氏は育ちの良さのせいなのか、かなり繊細で、感情の起伏が激しく、子供の頃はいじけることも多々あったようです。人間臭く、弱い部分をさらけ出しているところに魅かれますね。

強烈に負けず嫌いで、どんな苦境からも何度も立ち上がり、スイッチが入った時の迫力は天才棋士そのもの。将棋への情熱が強く、神がかりな強さを誇っていたことはここで語るまでもありません。

「最初の気持ちをずっと持ち続けられることと、一つのことを努力し続けることを苦にしないことが、もっとも大事な才能であると考えている」

好きなことをやって突き抜ける、これに勝るものはありませんね。

記憶力の積極的なトレーニングには、詰め将棋を勧めたい。

将棋が強くなりたいという人以外にも、頭の中で局面をどんどん動かしていくことは、記憶力、思考力、直観力、集中力などのトレーニングに最適である。

ではでは。