エフェクター

真空管コンプレッサーを比較検証してみた

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年末年始の怒涛のセールもすっかり落ち着き、すっかり賢者モードな今日この頃です。3度のメシよりプラグインが好きなDTMerのみなさんもきっと同じでありましょう。

と、そんなセールロス症候群な方々にピッタリなこんな記事がでておりました。

今年こそやめたい「衝動買い」――本当に欲しいものを買うために自分だけの”カタログ”を作ろう!

ブラックフライデーで消耗しない方法論でも提示してくれるのかと思いましたが「欲しいものカタログ」とは。フッ、Amazonかよ。そんなもので購買意欲は止まんないですわ。

情報を整理するという観点でリスト化はするべきだけど、だったら持っているものをリスト化した方が無駄なものを買わなくて済むんじゃないの?

ってことで、「持っているものリスト」やってみました。

とりあえず今回はプラグインエフェクト編ということで、コンプレッサーを種類別にリスト化することに。VCAタイプ、FETタイプ、真空管タイプ、OPTタイプ、その他の5つです。

そうすると意外な発見がありました。持っているほとんどのコンプがVCAタイプで、真空管タイプが異様に少ないのです。こりゃ真空管タイプのコンプを買い足さないといけませんなポチィイイイ!

・・・って、やっぱり買ってるやん(爆

まぁ、結局アレコレ理由つけて買うんですわ。リスト化で抑制出来たら苦労しないわけです。ただ、無駄な買い物は減るでしょう。現にありあまるVCAコンプは買わずに、手薄の真空管タイプを補強することに成功しましたのでw

ってなわけで、真空管タイプのコンプ4つを比較検証してみます。

 

検証概要

今回も例によってSylenth1のサイン波でアルペジオを鳴らし、それぞれのコンプの色付け具合を検証します。以前にも同様の方法でプラグインを比較しております。はいそこ、ワンパターンとか言わない。

Waves L1、L2、L3 マキシマイザーで音圧アップ比較検証してみた

プラグインリミッターを比較検証してみた

Sylenth1のMAIN VOLUME、MIX Aを最大。各プラグインの設定は挿しただけのデフォの状態。挿しただけでどれだけ音が変わるのかをやってみたいと思います。

サイン波の音を大きくしているのは効果をわかりやすくするためです。プラグインのキャラクターがある程度見えてきます。

入力されるデータ(周波数帯や音量)によって色付きも変化しますが、おおよそのキャラクターの違いは出てるかと。

【2月14日追記】

「上記の検証では入力の音が大きくてクリップしている。クリップとサチュレーションは違う」というご指摘を頂きました。今までの検証に加えて、クリップしないようにVOLUMEを下げたSylenth1のサイン波を同じように入れたものを追加してます。各コンプで-3dBコンプレッションする設定し、サチュレーションでどのように波形が変化するのかも合わせて確認してみてください。

Waves PuigChild670

結構好きなGUI。ちなみに今回ポチったのはコレです。前々から気になってて安かったので。wavesのFairchildってことで、持っている人も多いのではないでしょうか。

実機はコレ。

 

白い部分が原音で、赤い部分がエフェクターを通した音です。

非常にナチュラルな効き方ですね。ほんのりハイに味付けがありますが、基本は原音をマイルドに抑える感じですね。ナチュラルな方向性なので、マスタリングに使えそう。

【-3dBコンプレッション】

ほとんど原音と変わらず、ハイに少しだけ色付けがありますね。


Waves PuigChild 660&670

SlateDigital FG-MU

VBCには3つのタイプのコンプが入っており、そのひとつがFG-MU。こちらもモデルとなった実機はFairchildでしょうね。多分。

ちなみに、他の2つFG-GrayとFG-Redも非常に良いコンプです。いずれもVCAタイプ。

聴感上はパッと聴いても違いがわかる、ドライで抜けが良いサウンドのFG-MU。やはり味付けは濃いめ。ローもハイもガッツリです。今回のプラグインの中では一番効果がわかりやすかったですね。

【-3dBコンプレッション】

VOLUMEを大きく入れてクリップしている状態と比較すると真逆の効果です。ナチュラルにコンプされてます。特にローが抑えられてますね。


SlateDigital VBC

Klanghelm MJUC Mk3

MJUCは3つのタイプのコンプがあります。Mk1はVCAタイプ、Mk2がFETタイプとなっており、いずれも高品質なのでとてもコスパ高いです。3,000円ちょいくらいで買えます。

【フリー版あり】Klanghelm MJUC レビュー

実機はコレ。


Retro Instruments Sta-Level

全体的にMJUCの味って感じです。ハイに味付けしつつ、ローが盛り上がってます。

【-3dBコンプレッション】

全体的にマイルドになりますね。今回比較のプラグインでは1番まろやかに効きます。

Klanghelm MJUC

NativeInstruments VariComp

Komplete11 Ultimateに内包されているコンプです。開発はSoftube。ロゴも入ってます。

実機はコレらしいです。カッコイイ!

 

ナチュラルにコンプレッションしつつもハイに色付けされてますね。

【-3dBコンプレッション】

限りなく原音に忠実な感じですが、ハイ・ローともにわずかに色付けがなされていて力強いサウンドになります。


NativeInstruments Komplete11 Ultimate

音比較

実際に聴いてどうなのか比較していきます。BFDのドラムに挿してます。

順番は、Dry→PuigChild670→FG-MU→MJUC→VariComp

PuigChild670 

ナチュラルでマイルド。バランスの取れた音。マスタリングに使えそうな品を感じます。質感は変えたくないけど、コンプして均したいってときに良さそうですね。

FG-MU 

全体的にドライで派手な音になります。シンバルなど少々ハイがうるさくなりますね。キックなんかはアタックが強調されてる。好きな人は好きになりそう。ロック系とかに合う?

MJUC

ハイが抑えられて、ローが柔らかくなりつつも前に出て来る感じ。MJUC特有の滑らかな味が出てます。結構濃い味なので、好き嫌いが分かれるかもしれませんね。

VariComp

ナチュラルながらも、メリハリのある締まった音になります。クリアでカチっとしてます。NativeInstrumentsのエフェクターはSoftubeが共同開発しているので質が高いと有名です。これもマスタリングやドラムステムなどに使えそう。

各プラグインでコンプしたもの

アナライザ比較と同じようにドラムも-3dBコンプしたものを用意しました。

順番は、PuigChild670→FG-MU→MJUC→VariComp

【-3dBコンプレッション】

それぞれの個性が出ていて、-3dBコンプしたアナライザーの感覚とほぼ同じ印象を持ちました。正しく使用すると、視覚的な結果と、聴覚的な結果が同じになる感覚ですね。

負荷比較

 

comp比較

VariCompがぶっちぎりで重たいですね。これはマスタリング、使えてもバスかな。次いでMJUC。

さいごに

真空管タイプのコンプといってもそれぞれ個性がありますね。

クリップしたものと、レベルを適正にしたサチュレーションでは全く違う結果となりました。これを比較して、しっかりと適正レベルでプラグインを使用することが使いこなしの第一歩ですね。今回もまたまた勉強になりました。

冒頭で書いたように、手持ちのプラグインをカテゴリ別で書き出すのはオススメです。実機は目に見えるので同じようなものを買うってこともほぼ無いと思いますが、プラグインはインストールしたことすら忘れてる、なんてことありますからw

今回は幸いにも、キャラクターが「ドン被り」してないので使い分けできそうですが、無駄買いをしないためには基本的に異なったカテゴリのモノを買いそろえていく方が良いと思います。

ドラクエ
でも自分の装備を確認せずに買いそろえるなんてことはしないわけなので、武器の次は鎧、その次は兜を買うのと同じですよね。

リストアップ後に、使いこなせたかどうかを自問自答すると、魔法使いに鋼の剣を買ってしまって「装備できない!」というような失敗も防げるかもしれません。

わかりづらいですか?わかりますよね?

ではでは。