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【DTM考察】フリープラグインはなぜ使われないのか

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我々DTMerにとって本当に有難く、嬉しいフリープラグイン(本記事中では、フリーのソフトシンセ、エフェクター、サンプル等もまとめてフリープラグインとします)。

デベロッパーが宣伝用にフリーにしているものや、有志の方が制作されているものが数えきれないほど配布されています。

中には質が高くシェアウェア顔負けのモノもあります。そんなプラグインを発見する度に売れば良いのに!と思ったりするんですよね。

DTM初心者の方は「とりあえずフリーで揃う」という意見もあるくらい。それほど戦力になるプラグインがフリーで配布されているのが現状です。

しかし実際には、インストールはしているものの、どうしてもあまり使う気になれない、使われていないものが多いのではないでしょうか。

なぜ使われないのか?フリープラグインとはどうやって向き合っていけば良いのか?考察していきたいと思います。    

前置き

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大前提として、ここでフリープラグインのメリット・デメリットを語る気は毛頭ありません。フリーに文句つけること自体が筋違いですからね。

嫌ならば使わなければ良いだけの話で、タダで使わせてもらっている以上、感謝しかあり得ないです。

それから記事中の内容がすべてのプラグインに当てはまるわけではありません。あくまでフリープラグインはそういった傾向にあるという観点で読んで頂きたいと思います。

・・・と、しっかり予防線を張った上で何故使われないのかを考察していきます。

動機が不順である

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有料のプラグインを買う場合、何かしら理由(動機)がありますよね。先天的な動機です。

  • 音が良い
  • GUIがカッコイイ
  • 何らかの目的に対して必要
  • アーティストが使っていた

などなど、様々な動機が相まって欲しくなるはずです。

そして価格と相談して「必要かどうか?」「価格に応じた値打ちがあるのか?」じっくり考えます。価格が高ければ高いほど悩むでしょう。まぁこの悩むのも楽しいのですが。

無料が動機になっている

フリープラグインの場合はどうでしょうか。有料プラグインと同じ理由が動機となる場合もあるとは思いますが、ほとんどの場合が「無料だから」という動機で、深く考えずにインストールしているのではないでしょうか。

そもそも必要が無かったプラグインを刹那的な動機でインストールしているわけですから、裏を返せば有料だったら買わなかった可能性もあります。

「無料だからとりあえずもらっておこう」と手に入れても、インストールした時が「得をした」という気持ちのピークですから、後々プラグインを使わなくなるのは当たり前なのです。 

「セールの割引率で買う」という動機も似たようなものですが、ちょっと違います。    

お金を払うということ

払う

お金を払うという体験はとても重要なことで、人間簡単に(タダで)手に入ったものはあまり大事にしないものです。お金を払う行為は、快感や痛みを伴います。フリープラグインも多少面倒な手続きはあったりしますが「買う」という体験が無いので印象薄いです。

この部分が「セールの割引率で買う」とは違うところです。割引率を目当てに買っていてもお金を払う体験をしていますので(セール民擁護

フリープラグインの場合、ヘタするとインストールしたことすら忘れたりもします。たとえ忘れても「金銭的に損をしたわけではないので良いじゃん」という気もしますが、何かムダなことをしてるというか、切なくないですか。

0円では後天的な動機が生まれにくい

では、せっかくインストールしたから使うぞ!と意気込んだとしましょう。しかしシェアウェアと比較すると質や性能が劣ることがあるため、後天的な使用動機に繋がっていく確率が低いです。

対して、高価なプラグインだったらどうでしょうか。先天的に欲しかったモノだからこそ高いお金払っているので、買ったあとも「もったいないから使わないといけない」という義務感のような気持ちも生まれます。結果的に動機が生まれる確率も高くなるでしょう。

「プラグインの質は価格とイコールではない」ことは理解しています。ですが、質の良いプラグインは高価なモノが多いのが事実。様々な使用動機が生まれやすい状況にあるので、触っているうちに気に入る確率も高くなります。

悲しいかな心とお金は繋がっています。人間は弱いです。フリーとシェアウェアを同列に考えることはなかなか難しいのです。

「泡銭は身につかない」というのにも似てる気がします。

0円より100円の方が嬉しいし安心

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Xpand!2の約100円セール大盛況でしたね。世界中のDTMerに普及したんではなかろうかw元値が10,000円くらいするマルチ音源が破格のセールってことで大いに盛り上がりました。

100円セールの目的は、売上よりもAIR musicメンバーを増やすためのプロモーションだと思いますが、100円ってところが良かったと思うんですよね。

たとえ100円でも買う行為っていうのは重要。

「買う」のと「貰う」のは違うのです。

0円だと一気に価値が無くなってしまう気がします。人気無いのかな?って思ってしまう。100円だと大盤振る舞いな感じがしませんか?いくら100円でも買っているわけですから、何かあれば対応もしてもらえるでしょう。そういった安心感もありますね。

0円と100円の差は大きいんだなと感じるセールでした。

シェアウェアにはかなわない?

相対的に見た場合、これは仕方ないことです。例えばOmnisphere 2のようなシンセがフリーであるかといったら無いんです。こんなモンスターシンセをフリーで作れるわけないし、フリーで配布する理由もないんです。売れますから。

当たり前のことなのでわざわざ書くのもなんですが、音質やGUIがシェアウェアに勝ることは一部のソフトを除きほぼ無いです。マニュアルが無いのは普通、当然ですがサポートも受けられない。中には不安定でバグのあるソフトもあります。

 
アップデートがいつ途切れるかもわかりません。フリーだからといえばそれまでですが、使用に支障がある場合はどうしても敬遠してしまいますね。特に重要なプロジェクトを抱えている場合、不安定なソフトはリスク回避という意味でも使わなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
 

どこか信用していない部分があるのも使わない理由だと思います。

中にはお金とって良いと思うフリープラグインもある

散々使わない理由を書きましたが、お気に入りなフリープラグインはたくさんあります。今までにもブログで紹介もしてきました。 

【フリー版あり】Klanghelm MJUC レビュー

 
他にも、日本人が作った世界に誇れるフリーソフトSynth1VOPM、ヒャダインさんも使っているファミシンセⅡなどがあります。
 
まだまだ紹介しきれませんが、これからもオススメなやつは紹介していくつもりです。

制作サイドにとっては、シェアウェアになると様々なハードルもあるでしょうし、サポートも必要になってくるので売りたくても売れないという事情もあるかもしれません。

または、そこまでして売りたくないという人もいるでしょう。

フリーなのは、価格だけではなく、使う人も配布している人もフリー(自由)といえるのかもしれません。

さいごに

結論として、フリーを使わない方が良いということではなく「フリーだらかなんでもかんでもインストールしておけば良い」というのは何か違うと思います。そんな動機で手に入れても結局使わないのです。

だったらフリープラグインに関してもシェアウェアと同じように必要なものをしっかり選定して使ったほうが結果的に愛着も沸くのではないでしょうか。無料だからこそしっかり向き合わないと、使えるプラグインとそうではないプラグインまでも同じになってしまいます。

今となっては無数のフリープラグインが当たり前の様にに存在し珍しくも何ともありません。本来の有り難みも失われつつあります。

良質なフリープラグインはたくさんあります。これからもたくさん出てくるでしょう。だからこそ無思考になって収集しまくるのではなく、しっかりと選定を行うことがフリープラグインと長く付き合っていける、お気に入りのフリープラグインを見つけられる秘訣ではないでしょうか。

 
ハードウェアであれば置場所が無くなったり、使わずとも視界に入って整理するきっかけもあると思いますが、ソフトウェアは使わなければ目に見えません。使わないものは思い切って記憶媒体から削除してしまうのも良いでしょう。
 
選択肢は少ないほうがクリエイティブになりやすいです。 ぼくたちDTMerを楽しませてくれるフリープラグイン。全ての制作者に感謝とリスペクトを込めて。 今後も良いフリープラグインあったらガシガシ紹介していきます。

ではでは。