そろそろ持ってないと恥ずかしいレベルになってきたかも…。
オーディオリペアの先駆者であり業界標準であり続けている、iZotope RX。
昨年、映画芸術科学アカデミーより、RXの研究に取り組んだことが評価され、アカデミー科学技術賞(Scientific and Engineering Award)を受賞しました。
さらには、音声分析捜査を題材にした映画「ブラックボックス」にも採用されるほど、世界的に業界標準とされるオーディオリペアツールの金字塔です。
さすがは業界スタンダード>映画『ブラックボックス:音声分析捜査』にiZotope RXが登場 https://t.co/t6z9Op4UZx pic.twitter.com/Uyul8ksNui
— ゆにばす(Computer Music Japan/Synth Sonic) (@universe_ex) February 3, 2022
音に携わる方であれば「とりあえず持っとけ」的なRXシリーズですが、この度バージョン10になり、性能・使いやすさに益々磨きがかかりました。
それでは実際に使ってみて、個人的に推しのポイントをご紹介していきたいと思います。
iZotope RX 10
多数の機能が追加・刷新となったRX 10ですが、本記事ではDTMよりの目線で機能をご紹介していきたいと思います。
- Repair Assistantがプラグインとして使用可能に
- Spectral Recoveryが低域も復元可能に
- Elementsグレードの機能がより充実でコスパ高い
全体的な印象としては、グッと使いやすく敷居が下がった感じ。
それでは、新しい機能をいくつかピックアップしてチェックしていきましょう。
新機能
Repair Assistant
Repair Assistantとは、音の問題をAIが自動解析して修復してくれる機能です。
RX 10では、Repair Assistantがプラグイン化したことにより、DAW上で立ち上げることが可能になりました。
スタンドアロンでソフトウェアを立ち上げて、行ったり来たりする必要がなくなり、作業効率の与える影響は大きいですね。
また、インターフェイスが一新され視覚的に分かりやすいのは◎。
こちらが、RX 9のRepair Assistant。簡素ですね。
使い方は非常にカンタンで、4種類のモード(Voice・Musical・Percussion・SoundFX)から目的に最も合うものを選択し、音量の大きい箇所にて[Lean]を押すと数秒で解析が完了するので、あとは5つのモジュールを調整するだけ。
選択するモードに応じて、組み合わされるモジュールが変更されます。例えばVoiceを選択した場合は歯擦音除去の[De-ess]が組み込まれるなど。
耳マークをクリックすると除去された要素のみを聴けるのも嬉しい。
公式サイトにも記載がある通り、その名の通り”アシスタントに頼る”というコンセプトなので、ノイズ除去や修復を細かいエディットで自身が行うのではなく、直感的な操作でざっくり行えるのが大きなメリットです。
RX 10になりこの精度そのものもより自然になっているんですよね。
マニュアル不要なのでは?と思えるほど、全く難しさは感じないため、かなり敷居が下がっているなと感じました。
ノイズ除去のスキルが高く、より精度の高い作業を行う場合はスタンドアロンでRXを立ち上げる必要がありますが、手っ取り早くサクッとノイズ除去したいという場面もあると思うので、プロの現場でも重宝されそうです。
Spectral Recovery
失われた帯域を復活させて補修するという魔法のような機能。
RX 9までは高域のみ対応でしたが、RX 10では低域の補修も行ってくれるようになりました。例えば、スッカスカのラジオボイスのような声も、ツヤのあるリアルな音声に復元できます。とりあえずこの動画を見てください。
何が一体どうなってんだ…w
ただ、現在のところは音楽の補修を目的にした機能ではないため、人間の会話のみ対応とのこと。
念のため、2MIXやドラムステムに試してみましたが、音声のようなクオリティは得られませんでしたね。
Elementsの充実ぶりがすごい
今までのRX Elementsにおいても、安価なセールで入手可能な製品の割に機能が釣り合わないコスパ異常レベルではありましたが、ここにきての進化がスゴイです。
Repair Assistant-Plugin
上にも書きましたが、RX 10シリーズから、Repair Assistant-Pluginが搭載され、DAW内でプラグインとして立ち上げることが可能となりました。
Elementsも例外ではなく、プラグインとして利用可能です。
※他のプラグインにおいても同様ですが、Elementsグレードのみ、スタンドアロンとしては使用ができなくなっています。
De-Reverb新搭載
これまではStandard以上にしか搭載されていなかった、部屋鳴りなどの残響を除去する「De-Reverb」がElementsでも使用可能になりました。
De-Reverbの存在を知ってしまうと、YouTuberのトークの部屋鳴りが気になるようになりますw
残響が無くなることで、聴きやすくもなりますし、素人臭さが抜けてグッとそれっぽくなるので、品質の向上にも繋がりますよね。
まとめると、Elementsバージョンでも次の処理が可能になったと。
- De-click・・・リップノイズなどを除去
- De-clip・・・音割れを除去
- Voice De-noise・・・バックグラウンドノイズを除去
- De-hum・・・ハム・バズノイズの除去
- De-Reverb・・・部屋鳴りなどの残響を除去
DAWソフトさえあればプラグインとして動作するので、コンポーザーやエンジニアに限らず、歌い手さんなど声のお仕事をされる方々は、せめてElementsは絶対に持っておくべきですね。
なんだ、Elementsか…とはもう言わせねぇぞ!
VST2非対応のOBS問題
RX 10になり、VST2非対応となったことで、配信ソフトのOBS(VST2のみ対応)で使用できないという問題が。。
時代の流れなので仕方ないことではありますが、Media IntegrationさんのTwitterアカウントにて解決方法が紹介されていたのでご紹介しておきます。
OBSでRX 10を動かす方法。
【使用方法】
1:Nugen SigMod 1.2.3.0(Added VST2 and AU hosting support)をインストールする2:OBS上でSigModをインサート
3:SigMod上でRX 10 voice de-noiseをインサート
お試しください!
SigModのストアページはこちら→https://t.co/Gzwsfnra7c
— MI オンラインストア (@minetstore) September 7, 2022
SigModとは
Nugen Audio「SigMod」とは、入力信号に対して12種類のモジュールを使用して、入力された音声をコントロール可能にするプラグインです。
[Insert]モジュールを使用すると、SigMod上にVST3/VST2/AUプラグインを立ち上げることが可能に。
OBS上でSigMod(VST2)を立ち上げて、SigMod上でRX(VST3)を立ち上げるとことで解決できますね。
もちろん、OBS目的意外にも、ステレオ⇄モノラル変換や、異なる帯域別に個別のエフェクト処理をするなど、アイデア次第で”何かと”役立つモジュールばかりなので、DAW機能の延長線上にあるとも言える、とても便利なプラグインです。
さいごに
まだまだ機能が盛り沢山のRX 10。
プラグインのみ使用可能ではあるものの、Elementsの機能充実がすごいので、「まだRX使ったことない」という方も、とりあえず使ってみてはいかがでしょうか。
防音室やノイズ対策に大金を払うのもひとつの方法ですが、RXを導入した方がコスパが良いのでは?と言える場合もあると思っております。
ではでは。