FM音源といえば、メガドライブ。
Chipsynth MDはメガドライブを丸ごとエミュレートしたソフトシンセですが、今回紹介するINPHONIK RYM2612はFM音源部のみをエミュレート。
次のような特徴があります。
- メガドライブのFM音源部のみをエミュレート
- CPU負荷が軽い
- VGMファイルがあれば音作り不要
- Chipsynth MDとは色々と異なる
Chipsynth MDとの比較も交えてレビューします。
※この記事は2019年9月17日に投稿されたものに、加筆修正したものです。
YM2612をエミュレートしたFM音源ソフト
メガドライブにはFM音源の他に、矩形波やPCMなどが搭載/使用されていますが、RYM2612は”FM音源部のみ”をエミュレートしたソフトウェアです。
キモである音作りについては残念ながら自由自在とはいかない印象。
とりわけ難解というわけではありませんが、FM音源の構造に対する基礎知識がないと少々手こずるかもしれません。
とはいえ、4オペレーターなのでアルゴリズムを見ながら直感で触っていけば何とか…というレベルです。
そんな難攻不落のFM音源、RYM2612には救済策とも言える嬉しい機能、VGMファイルを利用して音色を取り込むという、真面目に音作りを追求した人からすると「セコ技」とも言える技が使えるので乞うご期待(後述します)。
DACは2種類
[CRYSTAL CLEAR]はクリアでモダンな質感で[LEGACY]は解像度が低く温かみのある実機をエミュレートしたサウンドです。
Chipsynth MDほどの選択肢はありませんが、余程拘りがない限りはこれくらいでも良いでしょう。
[LEGACY]の音質は抜けが悪く太い音で、あえてそうすることで忠実なメガドライブサウンドを再現。
実機の質感を知る往年のファンは、抜けの良すぎる音は違和感ですよね?
そんな拘りの強いメガドライバーも納得。
RYMCAST GENESIS VGM PLAYERを使用する
RYMCAST GENESIS VGM PLAYERは、IPHONIKのサイトからダウンロード可能なVGMファイルを鳴らすことができるフリーソフトです。
トラック別で鳴らすことが可能でソロ/ミュート機能も搭載。
特徴としてはFM音源部のみを再生するということ。DCSGやPCM部は再生されません。
音色の読み込み方
- スタンドアロンで立ち上げたRYMCASTでVGMファイルを読み込み
- トラック別の音色をDAWで立ち上げたRYM2612にドラッグアンドドロップ
使い方は極めて簡単です。
これだけでFM音源の音作りから解放されるとともに、音作りのヒントにもなります。
Chipsynth MDと比較して
上にも書いたようにChipsynth MDが丸ごとメガドライブ音源をエミュレートしているのに対して、RYM2612はFM音源部のみをエミュレートしています。
見た目はChipsynth MDの方がそれっぽいですね。
音色の傾向はChpsynth MDの方が明るく抜けが良い傾向。
対してRYM2612は解像度が低く粗いので、太く、温かみがある感じ。
DACの種類も異なるので、RYM2612がどのモデルをエミュレートしているか分かりませんし、単純な比較も乱暴な気がしますが、一聴した感じではそんな印象があります。
ただ、どちらが生生しいかといわれるとChipsynth MDなのかなと。
DACのノイズ再現がすさまじいのがポイントかと思います。
VGMファイル読み込みについて
同じVGMファイルから音色を読み込んでも再現性が異なります。
Chipsynth MDは抜けが良く生々しいが少々デジタル臭も感じるし、RYM2612の方が少々荒くて馴染む、といった感じ。
使い勝手のポイントとして、Chipsynth MDは、VGMファイルからの読み込みもプラグイン内で済んでしまうという強みがあります。
RYM2612を選ぶポイント
Chipsynth MDばかり褒めてる感じがしますが、RYM2612だって良いところはあります。
矩形波などの必要がなくFM音源のみを使用する場合、負荷が気になる場合、太い音が良い場合はRYM2612が候補に上がるでしょう。
「DX7の12bitDACが最高」「FM音源のソフトシンセはどれもデジタル臭ぇんだよ!」っていう通な方にはRYM2612を推したいw
さいごに
メガドライブ音源を使用して楽曲制作ができる日が来るとは実に良い時代です。
Chipsynth MDと比較すると、使い方や勝手は多少異なるものの、どちらもメガドライブ(YM2612)のFM音源好きには手元にあるだけでも嬉しくなるソフトなのは間違いありません。
好み、目的に応じて選択するのが良いと思います。
ではでは。