オランダのシンセメーカーの雄、Rob Papenがリリースするシンセサイザープラグインバンドル「eXplorer 6」に含まれるプラグイン「Vecto」をご紹介します。
Sequential Circuits Prophet VSやKORG WAVESTATION、YAMAHA SY22などのベクトルシンセが好きな方は是非チェックしてみて欲しいシンセです。
Vectoとは
PropellerheadのRE(Rack Extensions)用音源として開発され人気を博していましたが、多くのユーザーから「他のDAWでも使用したい」という要望を受けて、VST・AU・AAXに対応した単独プラグインとしてリリースされました。
Vectoは、4オシレーターのベクトルシンセサイザーで、特徴的な中央のベクトルパスで4つのオシレーターの音量比率を調整し、動きを付けるなどしてダイナミックな音作りが可能となっています。
オシレーターにはシンセサイザーの基本となるアナログ波形はもちろん、ストリングス、ベル、パーカッションサウンドなどを網羅したサンプリング波形を用意。
異なる性質をもった波形をブレンドすることで独特の質感を得ることができ、ベクトルパスにて動的な音作りが可能になります。
プリセットは1,100種類以上用意されているので即戦力としても使用可能で、ベクトルパスの動きなど音作りのヒントも得られます。
ベクトルパスで多彩な音作り
何と言ってもVectoはベクトルパスがキモですね。
「DIRECT」をONにするとマウスで軌道を自由にコントロールできるので、気に入ったパターンが見つかったら「RECORD」をONにして記録、「REPLAY」で再生できます。
ベクトルパスにもプリセットが用意されているので、音色を選択/作成して、ベクトルパスプリセットで動きを付けていくこともスピーディーに行えるんですよね。
プリセットを選択して、
自由に書き換えることができます。
慣れてくるとイメージできるようになり狙った効果も出せるかと思いますが、予想もしないような音を狙っていくのも面白いです。
モジュレーションをベクトルパスと関連付けることでVectoの音作りは真価を発揮します。例えば、X軸・Y軸にフィルターやエフェクトを設定するなどして、動きをつけていきます。あらゆるパラメーターがセッティングできるので可能性は無限大なんですよね。
フィルターは28種類搭載。フォルマントフィルターやリングモジュレーターも選択可能。
音について
Rob Papenらしくかなり優秀なアナログ波形が用意されています。極太なシンセサウンドなどはPredatorなどには敵わないものの、基本的なシンセサウンドは十分なレベルです。
特徴的なのはサンプリング波形ですね。少々ローファイな感じで80年代PCM音源の雰囲気があります。シンセ波形との混合した際の質感が自然なのはこういった部分にあるのかもしれません。
ストリングスやパンフルート、クワイアなどはハード音源を使ったことがある世代であれば、どこかで聴いたことがある音だと思います。
また、痩せたデジタル波形という感じがせず、芯がしっかりしているのもポイントです。
さいごに
考えられ得るベクトルシンセの可能性を追求した、ベクトルシンセサイザーの決定版です。
1画面仕様なので、全体が把握しやすく直感的なのも◎。
収録されている音などからも、80・90年代のハードシンセが好きな方は特にハマるシンセだと思うので是非チェックしてみてください。
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