ついに俺もムジークオーナー(中古だけど)。
実は昨年my new gearしていたのですが、なかなか時間がとれなくてレビューできませんでした。
買うまでは「本当にこんな高価なものが必要なのか」「他にも選択肢があるのでは」などと思い悩む日々を過ごしたものですが、数ヶ月使用してみての感想として「買ってよかった」なと。
というわけで、ニアフィールドモニタースピーカーのひとつの頂点であろう、泣く子も黙るRL906について、主観タップリで書いていきます。
musikelectronic geithain RL906
musikelectronic geithainはドイツ発祥であり、創業60年を超える現在も100%自社開発・生産体制を貫いている職人メーカーです。
その中でも、最も人気が高いモデルのRL906は、多くのプロ音楽家が愛用することで知られており、NHKも採用するほどの説明不要の名機。
各方面で、悪い話をほとんど聞きません。
さらに、世界の坂本龍一氏がRL904を、細野晴臣氏がRL901Kを使用していることもあり、国内におけるmusikブランドの価値は、高まるだけ高まっているのが現状。
また、マスタリングスタジオなどでは、ラージモニターと組み合わせて使用しているところも多く見かけるので、作編曲家だけでなく、エンジニアからも支持を得ていることが確認できます。
Twitter界隈でも、個人的に信頼のおける方々が愛用されているのを見かけるので、自分の中では「よほど好みに合わない限り大丈夫だろう」という思いはありました。
とはいえ、リリースからかなりの時間が経過しているので、最新のスピーカーというわけではありません。
当然ながら、他社もmusikを研究した上で新たな製品を市場投入していることを考えると、こんなに高価なものに果たして相応の価値が見出せるのか?と正直悩みましたが、好奇心がそれを上回りましたね…ってか、平たく言うと、物欲に負けましたw
音について
音の感想
※サウンドの良し悪しは好みが大きな部分を占めること、セッティングや環境で大きく変わることを前提に、あくまで個人の感想として捉えて、意見のひとつとして参考にして頂ければ幸いです。
RL906を聴いて感じた感想は次のとおりです。
- パッと聴き、あれ、普通?と思うが『原音忠実』という凄みに気づく
- 解像度が極めて高く、楽曲全体の見渡しが良い
- 制作者・奏者の意図が伝わってくる
- 音の定位が聴いたことないレベルで明確
- ボリュームを増減しても極めてバランスが変わりづらい
- 正確無比のサウンドだが有機的。情報量が多いのにモニター的でない
- 艶がありつつドライとも言える丁度よくも心地よい塩梅
- ドラム・パーカッション系のリズム隊を聴く快感が凄まじく、とにかく小気味良い
- このサイズではクラス最高、そして”このサイズである必要がある”鳴り
- レンジは決して広いとは言えないが、弱点とは言い切れずむしろ強み
- リバーブなど音の切れ際が粒まではっきり見える
- コンプやEQなどを使用した際のわずかな音の変化を掴みやすい
- 月並みだが聴き慣れた楽曲に改めて感動する
最初聴いた時は、正直「普通じゃね?」って感じたのですが、1曲聴き終わる頃(5分後くらい)には「やば、なにこれめっちゃ良い」と感じるようになってました。
これがまさしく原音に忠実な鳴りなんだと。
わざとらしさが全く感じられないため、楽曲全体の見渡しが非常に良いんですよね。
これはRL906の真骨頂ではないかと思うのですが、定位の分かりやすさと、ドラムなどのリズム隊、鍵盤楽器などのパーカッシブな音色の表現力が神。
同軸のおかげか、スピード感と解像度の高さがマッチしており、楽曲によってはドラッグ並の快感を得られます。
また、奥行きやコンプ、EQなどのエフェクター使用時の音の変化も非常に分かりやすいため、作業もしやすいのではないかと。
トランジェントも見えすぎちゃって困るくらい見えます。
なるほど、作曲家にもエンジニアにもそれぞれ人気がある理由がわかった気がします。
レンジが狭い問題
RL906の周波数特性は、50Hz〜20kHzと、決して広くありません。
2022年現在において、RL906を購入検討している人が気になる部分のひとつではないでしょうか。
どちらが良いという話ではないのですが、ADAMやFocalなどレンジの広いスピーカーは他にいくらでもあります。
「低域が足りない」という意見も見かけますが、確かにそれほど豊かな低域、又は高域を鳴らすスピーカーではありません。
マスタリングでは低域・高域のチェックできるモニター(スピーカーもしくはヘッドホン)があった方がよりモニターしやすい場合もあるでしょう。
ただ、作編曲やミックス段階では問題ないレベルで使用可能だと感じたし、解像度の高さに意識が向くせいか、個人的にはレンジの狭さはそれほど気になりません。
ニアフィールドのモニタースピーカーをどう捉えるか(どういう役割を持たせるか)は、人それぞれなので、一概にレンジが広い方が正義とは言い切れないのではないかと考えます。
で、主観たっぷりで言わせてもらうと、RL906の場合むしろ「低域と高域が無いのが強み」なんですよね。
RL906が鳴らし切っている部分(50Hz〜20kHz)は、他のモニターの追従を許さないレベルで素晴らしいんです。
低域が”ズゥゥン”となっていたり、高域が”キラキラ”っとしていたらRL906の良さが失われてしまうのではないかと。
なので、低域・高域が無いからこそ無双ニアフィールドモニターであると言えるのではないでしょうか。
「ウチは最高のシャトーブリアン(50Hz〜20kHz)しか出さない。カルビとかホルモン(超低域・超高域)食いたい奴は他の店行ってくれ」
というポジティブな解釈をする方が自然なのかなと。そのくらい満足できます(個人の感想です)
セッティングについて
ケーブルはMOGAMI2534、電源ケーブルは純正。
KRYNAのスピーカースタンドに、インシュレーターDSMD50を使用しています。
DMSDは良くも悪くも大きく音が変化するため、使用/不使用と聴き比べましたが、ウチの環境ではこれが最も好みな状態になりました。
DMSD 50を使用した方が、高さ的にもしっくりきたことと、中低域がよりスッキリしてRL906の良さに磨きをかけてくれた気がします。
値ははりますが、機会があれば純正のスピーカースタンドを使用してみたいですね。
隙の無い堅牢な造りから漂う高級感
とにかく高級感があるので、DTM環境が映えます。
ブラック木目もそうですが、音の出口周りの作り込みも惚れ惚れするんですよね。
価格のせいもあってプラシーボ増し増しになっているのは否定しませんが、音も良くてこの見た目ですから。お世辞抜きで見惚れてしまう…
重量感も十分あり、ボディをコンコンと叩いてもギッチリ身が詰まってて嬉しい。
ムジークのスピーカーで唯一背面に調整できるEQを搭載しているのがRL906。
バスレフポートの位置が気になる
ウィークポイントになるのかどうかは人それぞれだと思いますが、気になった部分も書いておきます。
バスレフポートが上に付いているので、ホコリが溜まりそうなのが精神衛生上あまりよろしくないです。
いや、もちろんRL906の音の良さの一部であることは重々分かっているのですが気になる…。
あとは、リリースされてからかなりの年月が経過していることと、言うても新品で買うと50万円くらいするので、他に最新のスピーカーでもっと良い選択肢はあるかもしれない、というところ。
上記でも書いた通り、これが弱点というわけではないのですが、現実レンジは広くないのでここをどう捉えるか。
贅沢を言わせてもらえば、レンジの広い比較的新しい大きめのメインスピーカーと、ニアフィールド最強サブモニターとしてRL906をの組み合わせることが出来れば”最強”ではないのか…と感じました。
価格や置き場所のことを考慮すると、超低域・広域のモニターはヘッドホンで補うのが現実的かもですね。
さいごに
音、デザイン、サイズ感、価格、とどれをとっても最高ランクのニアフィールドモニターです。
価格は高いですが、スピーカーとしての完成度が高いため、ジャンルを問わず満足できる確率は高いのではないかと。
もちろん新品が良いですが、運が良ければ“状態が良い中古を見つかる”こともあるのかなと思います。
おいでよ!musikの世界へ!
ではでは。
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