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「Tomofon」という名の楽器はいかが?
スウェーデンのデベロッパーKlevgrandは、ミュージシャン、映画製作者、ソフトウェア開発者、プロデューサー、サウンドデザイナーが所属するマルチクリエイター集団であり、その多様性ゆえか、遊び心に溢れつつもとてもクリエイティブな製品を生み出し続けています。
そんなKlevgrandから、ウェーブテーブルシンセサイザー「Tomofon」がリリースされました。Tomofonは、シンセであって、ただのシンセではないという、とても面白いコンセプトなんですよね。
ウェーブテーブルシンセなら沢山持ってるよ!って方にこそブッ刺さる、そんな製品ですよ!
Klevgrand Tomofon
Tomofonは、デフォで用意されたもの、もしくは独自に用意したウェーブテーブルを自由にモーフィングする画期的で斬新なシンセサイザーであり、元となる波形を変幻自在に再構築して、聴いたことがないようなサウンドをも生み出すことを可能にします。
実在する音であったり、一般的なシンセサイザーを模倣するのではなく、「Tomofon自体が楽器である」との思想が、サウンドの軸となってるのが特徴であり、アイデンティティ。
こういったシンセにありがちなのが、開発者の愛は分かるんだけどなんだか操作しづらいし使いづらい…ということ。
Tomofonは、カラフルでポップなGUIのおかげもあり、視認性や操作はそれほどとっつきづらい感じはありません。
シンセをある程度分かっている人であれば、触っていくうちに自然と慣れることが出来るのも良いですね。
音について
Tomofonは「リアル・オーディオシンセ」という言葉が表しているとおり、リアルな楽器を再現するものではないし、いかにもシンセサイザーというわけでもありません。
その質感は、オーガニックと電子音の中間、または双方に存在しないサウンドを生み出す、非常にユニークなシンセサイザーです。
オーディオファイルを、Tomofonという楽器を通すとこうなる、的な感じで面白いんですよね。
色々な意味で独特かつ個性強めなので、普通のシンセに満足できない方は一度は触ってみる価値あるのでは。
プリセットとオーディオモデル
プリセットを一通り聴いた後は、オーディオモデルを変更するだけでもかなり多様なバリエーションを聴くことができます。(上の画像はプリセット選択画面)
※オーディオモデル・・・ 整理されたウェーブテーブルを含む構造。Klevgrandが名付けた革新的フォーマットです。
プリセットで音の形を決めて、オーディオモデルで音色を決めるイメージです。とはいえ、普通のシンセとは異なり、そのままの音色にはならないところがTomofonの真骨頂ではないでしょうか。
慣れてくればある程度予測できる部分もあるかと思いますが、ほぼほぼ、イメージ通りの音は鳴らないところがクリエイティブです。
オーディオファイルのインポート
デフォルトで用意されている音色を一通りエディットしてみて操作になれたら、手持ちのオーディオファイルを読み込んで一気に世界を広げましょう。
ドラッグ&ドロップでインポートし、インポートする方法を6種類から選択します。
- New Automatic・・・オーディオモデルを自動生成する
- New Souted・・・現在のオーディオモデルをクリアして新しいモデルを作成
(時間的位置に基づいてピッチゾーンに自動配置される) - New Manual・・・現在のオーディオモデルをクリアして新しいモデルを作成
(オーディオのどの部分をどのピッチゾーンで使用するか設定可能) - Merge All・・・現在のオーディオモデルに波形を追加
- Merge Empty・・・現在のオーディオモデルの空いているピッチゾーンにのみ波形を追加
(時間的位置に基づいてピッチゾーンに自動配置される) - Merge Manual・・・現在のオーディオモデルに波形を追加
(オーディオのどの部分をどのピッチゾーンで使用するか設定可能)
Tomofonに慣れるまでは、New AutomaticもしくはMerge Allから始めるのが良いでしょうね。
慣れてきて作りたい音色がある程度イメージできるようになってから、マニュアルモードを使用するとより深い音作りが堪能できます。
他のウェーブテーブルシンセとの違い
MassiveやSerumなど、他のウェーブテーブルシンセとの違いについて、全く別物と考えて良いかと思います。
ウェーブテーブルシンセのイメージは、派手でデジタルなエッジの効いたサウンドが一般的ではないかと思いますが、Tomofonは、自分ではイメージ出来ないようなオリジナリティに溢れたサウンドを作るのに向いています。
一音一音を丁寧に磨き上げ、予想しえない変化をする、独特の質感を持った説得力のあるサウンドを作ることが可能なんですよね。
CPU負荷
4音鳴らしてこれくらいです。負荷は気にならないレベル。
計測環境は以下のとおり。
- OS ・・・Windows10 64bit
- CPU ・・・AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ・・・64GB [DDR4-3200 16GB×4]
- DAW・・・Cubase Pro 12
- バッファーサイズ・・・512samples
- サンプリングレート・・・44.1kHz
※CPU負荷は、音色や設定によって変化するため、あくまで参考程度にとどめてください。
さいごに
普通のシンセサイザーでは作れないような、この世に存在しない新しい音色を作ってみたい方にはめちゃくちゃオススメ。
シンプルに、音作りが楽しくて時間を忘れてしまう中毒性あります。
一通り触って感じたのは、自分でイメージするよりも、ある程度Tomofonの型に落とし込み様々な調整を行っていくうちに、偶発的な発見があり、良い感じの音が作れるような気がしました。
聴いたことのないサウンドに出会える、そんな瞬間が最高。
ではでは。