美しすぎるコンプレッサー。
GUIの話ではありませんよ、音の話です。
高品質エフェクターのリリースを続けるAcustica AudioのEL Reyをレビューします。数あるAcustica Audioの中でもトップクラスとの呼び声も高い本機ですが、素晴らしいの一言。
UADいっちゃおうかな?という人が思いとどまれる可能性を秘めたコンプレッサーです。
Acustica Audio EL Rey
グラミー賞の受賞歴があるプロデューサーでありエンジニアである、Greg Wellsをはじめとする様々な巨匠たちがプロデュースするコンプレッサープラグインです。
真空管コンプレッサー、RCA BA-6Aを細部に渡りモデリング。
出典:Reverb
Acustica Audioといえば、チャンネルストリップに加えて、各種エフェクターを単品使用でき、価格の割にはコスパが良くね?という仕様のものが多いのですが、EL Reyは違います。
単品のコンプレッサーなのです。単品なのに他の複数のプラグインバンドルのチャンストと同じくらいの価格なのです。
え、コンプのみにそんなにお金出せないよ?…と思った方。ちょっと待って下さい。
裏を返せばそれだけ自信があるということですよね。あのAcusticaですぜ?
そして、Acusticaのコンプレッサーの項目にも鎮座しているのはEL Reyのみ。さながら、大広間の奥にある玉座に座る皇帝のようです…。
もう音を聴けばわかるのですが、コンプレッサーだけにプラグイン複数個分のお金を払う価値は十分にあるんですよね。それくらい高品質。
使い方はシンプル
操作する項目もそれほど多くなく、アナライザーもないため、音を聴きつつ好みの音に調整していくだけでOKです。
オートゲインも搭載されているので、音量に騙されることなくコンプレッサーの質感の変化を確認することが容易に可能。
シグネチャープリセットも52種類収録。各エンジニアの名前を冠したプリセットが用途別に用意されているので、セッティングを学びつつ、即戦力となるでしょう。
音について
真空管独特の美しさ、艶が付加され、各素材がワンランク上の音に生まれ変わります。
コンプレッション効果も抜群で、接着効果およびダイナミクスを残しつつ、音楽的なコンプレッションを実現。
決してわざとらしさはなく、心地よいサウンドに昇華しつつも、極めてナチュラル。
一度かけてしまったが最後、Bypassの音が物足りなくなることでしょう。
間違いなくオススメできるのは、ボーカルトラック、ピアノ、ベース、ドラムですね。
個人的には、元からハイファイなトラック、例えばシンセ系などにはそれほどの効果を感じませんでした。
CPU負荷
唯一の弱点が負荷の高さといっても良いかもしれません。非力な環境ではかなり気を付けて使用する必要があります。
しかし、負荷の高さが納得できる、負荷が高くても何としても使用したい、そんな気にすらなるコンプレッサー。中毒性があります。
【負荷テスト環境】
- CPU : AMD Ryzen 9 3900X Matisse [3.8GHz/12Core/TDP105W]
- メモリー : 64GB[16GB*4枚] DDR4-3200 [メジャーチップ・8層基板] Dual Channel
- ストレージ : Intel SSD 660p Series [M.2 PCI-E SSD 2TB]
- オーディオインターフェイス:RME FireFace UCX
サンプリングレートは44.1kHz、ビット解像度は24bitに設定しています。
さいごに
コンプレッサーを使用する目的は様々ですが、自然かつ品のある味も付加したい場合には現代の、少なくともネイティブのコンプレッサーでは最高の一手ではないかと。
コンプレッサーを深く理解していないぼくでも良さが分かるので、ある意味ホンモノ。
好みの問題もあると思うので、是非デモしてほしい逸品です。
ではでは。
https://synthsonic.net/archives/%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%97%e3%83%ac%e3%83%83%e3%82%b5%e3%83%bc%e3%81%ae%e4%bd%bf%e3%81%84%e6%96%b9%e3%82%92%e5%ad%a6%e3%81%b6%e3%81%aa%e3%82%89fabfilter-pro-c-2%e3%81%8c%e3%82%aa%e3%82%b9%e3%82%b9.html