PCのみでマスタリングまで完結するITB(in the box)が主流になりつつあるDTM界隈。
とはいえ、高級なアナログ卓でミックス・マスタリングしたい!というのは全DTMerの永遠の憧れではないでしょうか。
プロやお金持ちはそんな機会に恵まれるのでしょうけど、一般人にはなかなか手が届かない高嶺の花で、家庭に持ち込むのは現実的ではありません。
一般人が「卓、買ってもいい?」なんてお願いしても食卓テーブルと認識され、誤解を生んだまま買おうものなら家庭崩壊まっしぐらです。
冗談はさておき、世界中の名曲たちがアナログ卓で処理されているわけですから、DTMerがなぜ憧れを抱き続けるのは自然の摂理です。
そんなアナログ卓をエミュレーションしたプラグインの中でも、一度は使ってみて欲しいプラグインが今回紹介するNLSです。
※この記事は2017年3月9日に投稿されたものに、加筆修正を加えたものです。
Waves NLS
マドンナ、ビヨンセ、レディー・ガガ、U2などの超有名アーティストの楽曲を手掛け、アカデミー賞やグラミー賞を受賞している超有名プロデューサーたちが使用しているコンソールのヘッドアンプを再現したプラグインです。
要は、アナログ卓を通したような味付けがされて、楽曲に温かみが出る、すなわち音楽的になるのです。
NLSにはChannelとBussとありまして、それぞれに3つのタイプ(SPIKE、MIKE、NEVO)が選択できるようになっています。
Bussタイプは各チャンネルのNLSとリンクし、1つのBussで8つまでコントロールできるようになっています。たくさんツマミとかスライダーがついてるのがソレです。
■SPIKE(SSL4000G)
Mark Spike Stent所有のソリッド・ステート・コンソール
■MIKE(EMI TG12345)
Michael Hedges所有のクラシック・コンソール
※ピンク・フロイドの「狂気」などに使用。
■NEVO(Neve)
Yoad Nevoのためにカスタイマイズされた、ヴィンテージ・ブリティッシュ・コンソール
それぞれに個性があって、結構音が変わるんですよね。それでは検証していきます。
アナライザにて視覚的に分析
音量はクリップしないように-20dBを入れてます。
Range設定で、表示を最大(120dB)にしてあります。(表示のみで音量に変化なし)
見やすいところで、ほぼ200Hzに位置しているG2(ソ)を鳴らしました。BYPASSの状態です。
NLS Channel
各プラグイン共通でDRIVEを+6入れました。
SPIKE
MIKE
NEVO
NLS BUSS
こちらもChannel同様、各プラグイン共通でDRIVEを+6入れてます。
SPIKE
MIKE
NEVO
デモ
次に音で検証してみます。BFD3のドラムステムにかけてみました。上のアナライザ画像と合わせて聴いてみてください。
NLS Channel
BYPASS→SPIKE→MIKE→NEVOの順です。
- SPIKE・・・ナチュラルながらも力強さ増す。
- MIKE・・・ロー、ハイともに力強くパンチが出る。
- NEVO・・・3つの中では一番スカッと抜ける。
NLS Buss
BYPASS→SPIKE→MIKE→NEVOの順です。
- SPIKE・・・Bussの中ではこれが一番力強い。
- MIKE・・・一番おとなしい。SPIKEよりもハイが抑えられていて、ミドルが前に出てくる。
- NEVO・・・スカッとしつつも、全体的に色付けがされている。
設定の仕方で変わると思うのですが、ChannelとBussで同じベクトルではあるものの、少々キャラが異なるようです。
チャンネルとバスで組み合わせて使うことを想定した味付けなのかもしれません。
今回は単純にDRIVEを+6しただけなのでまだまだ検証の余地はありますね。
あとは良いとか悪いとかではなくて、Wavesの音っぽくない気がする…主観ですが。
さいごに
上品なアナログの歪みと力強さを与えてくれます。デジタル過ぎて物足りない楽曲に「足りない何か」を補う感覚ですね。
負荷は軽いです。全チャンネル、バスに挿して使っても問題なくいけるでしょう。なんなら打ち込み段階からバスにかけっぱなしでも良いくらいです。
ざっくりマスターに挿すだけでも良い感じで効果あるんじゃないでしょうか。
何か物足りないなぁ・・・とお悩みの方、是非試してみてください。
ではでは。
Diamondにもバンドルされています。
WAVES Diamond