オランダが誇るシンセサイザーデベロッパーの雄、Rob Papenから新しいシンセサイザープラグイン、「Go2」が発表されました。
Rob Papenというと、こだわりのシンセをあらゆる方面から掘り下げているマニアックなイメージがありますが、今回の「Go2」は敷居が低めです。
シンセ初心者の方は気軽に、もちろんマニアの方も楽しめるシンセとして、幅広く受け入れられるのではないかと感じます。
Go2とは
一口にシンセといってもそれぞれ個性があって、シンプルなものは誰もが楽しめる反面、音作りが浅かったりします。一方で構造が複雑なものはマニアック志向が強い反面、幅広い音作りができる傾向にあります。
そこでRob Papenは、シンプルさと多機能さを両立したいと考え、なるべく簡単な操作でしっかり音作りができるヴァーチャルアナログシンセサイザーをコンセプトに「Go2」を作ったと・・・ぼくはそう解釈しましたw
GUIは基本1画面完結型で、全体が見渡せる仕様となっています。直感的に音作りできる構造になっているため、シンセに慣れた人は触りながら覚えていけると思います。
話はそれますが、Rob Papenのことを知らないって人のために簡単に書いておくと、Rob Papenは、オランダを拠点とするシンセサイザーデベロッパーで、社長自身もミュージシャンであり、伝説のサウンドエンジニアであります。
先日来日してましたね。
そんなRobさんの肝入りのシンセが「Go2」ってわけです。
コンセプト・価格から想像するに、シンセの楽しさを伝えたい、Rob Papenのファンを増やしていきたいという意気込みが感じられます。
音について
音は素直で率直です。波形自体がパワフルで太いので、加工しても痩せません。フィルターのモデリングも流石と言いたい。触っててテンション上がります。
音質は現代のシンセらしく、粒立ちが良く、アナログ感とデジタル感の中間で、優等生です。
テキトーにいじくり倒しても面白い音が出来上がる、そんな期待を持たせてくれますね。
音作り
オシレータ
搭載波形は128種類と非常に豊富で、基本波形からオルガン、ベルサウンドまで揃っています。
特徴的なのは、2OSCをモーフィングできるオシレータです。ただモーフィングするのではなく、様々なモードが選択可能で、FMやリングモジュレーターなどで過激な音作りができるんですよね。
XYセクション
XYセクションでは、ライブインタラクティブコントロール(マウスでリアルタイムに動きを記録する)と、オートプログラマブルモジュレーションソース(パッチングを書き込んでいく)を組み合わせて音にかなりの動きをつけることができます。
上の画像はXYセクションを4つ並べてみましたが、どれも見た目からして個性的ですよね。
フィルター
フィルターは8種類搭載されており、どれも個性的です。プリセットを選択し、フィルターを変更するだけでも豪快に変化するものもあるので、それだけでも音作りの可能性が広がります。
その他にも、アルペジエーターやモジュレーター、エフェクターなども搭載していて、直感的ながらもさすがのRob Papenと言いたくなるほど、かなり音作りに凝った仕様です。
もうひとつ重要なのは1画面完結でこれらの作業がすべて行えるところ。GUIを切り替えるわずらわしさや、混乱を防ぎます。
NKSの準備も進んでいるようです。
Work in progress. Making Go2 compatible with the NI NKS system 👍 pic.twitter.com/UYaPpm1vOJ
— Rob Papen (@RobPapen) 2018年5月9日
プリセットは600種類。負荷は軽く、省サイズ
※1画面と書きましたが、プリセットブラウザはGUIが切り替わります。
モーフィングするオシレータとXYセクションを活用した音色がたくさん入ってて、勉強にもなるのですが、鳴らすだけで曲できそうなものも多いです。
オリジナル音色の保存はもちろん、気に入ったプリセットに★印を付けてまとめることも可能です。
負荷
負荷は軽いです。和音で鳴らしても問題ありません。モバイル環境でも問題なく使えると思います。安定感も抜群。
省スペース
ダウンロードサイズは22.4MB(Windows)ほど。さすがヴァーチャルアナログですね。ストレージにも優しい。
音も重要ですが、使いやすさや環境を選ばないプラグインって素晴らしいですよね。
さいごに
普通のシンセとしても十分機能しますが、万能なシンセというわけではないのかなと。
モーフオシレータやXYセクションを活用した飛び道具的なアイデアを創出するアプローチが向いてそう。音が元気なので、ハッキリした音に向いていると思います。
操作は直感的で、楽しいです。ガチの初心者にもやさしいとは言いませんが、なんとなく触っていれば使い方がわかってくるのではないかなと。
マニアの方には是非XYセクションで遊んで欲しいです。今までにない手軽さで動きのある音がすぐに作成できます。
リーズナブルなのも嬉しいですね。5,000円なら買って損はないと思います。
シンセの楽しさを感じさせてくれるのが「Go2」、そんな印象です。
ではでは。