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とりあえずエントリークラスのオーディオインターフェイスで頑張ってきたけど、そろそろワンランク上の機種が欲しい…でも高い…
そんなDTMerにとって、選択肢になる得るのが、YAMAHA「URXシリーズ」です。
オーディオインターフェイスの要である音質へのこだわりと、多機能なミキサー機能を一体化したURXシリーズは、将来性見据えた設計で長く使えるモデル。
一方で「機能が多くて難しそう」という声も見られるため、そのあたりも含めて実際の使用感をレビューしていきます。
YAMAHA URXシリーズ概要
URXシリーズは、YAMAHAが新たにリリースしたフラグシップのオーディオインターフェイス。
これまで同社からはIXOシリーズやURシリーズといったコストパフォーマンスに優れたモデルが展開されていますが、URXシリーズはさらに品質と性能にに磨きをかけた上位機種の位置付けです。
ラインアップは3種類が用意されています。
- URX44V・・・6イン / 4アウト(HDMI端子・SDカードスロット搭載)
- URX44・・・・6イン / 4アウト(SDカードスロット搭載)
- URX22・・・・4イン / 2アウト
入出力数以外には、音質などの基本性能に違いはありません。
映像制作やライブパフォーマンスの配信を目的とする場合は映像と音声をキャプチャ可能なURX44Vが視野に入りますが、一般的なDTMや通常の配信用途であれば、URX44またはURX22で十分でしょう。
今回はYAMAHA様より、URXシリーズでは最も手に取りやすいモデルの「URX22」をお借りしましたので、本機を中心に見ていきましょう。
URX22レビュー
大きな特徴は次のとおりです。
- 同価格帯では珍しい125dBの高ダイナミックレンジ
- 本体だけで完結するミキサー機能
- 液晶タッチ操作・物理ノブによるハイブリッド操作
- 初心者でも初期設定が可能なSimple Mode搭載
第一印象は「音が良い」そして「多機能ゆえに難しそう」でした。
URXシリーズは、DAWを中心とした音楽制作はもちろん、ボーカル録音や配信、ポッドキャストなど、幅広い用途に対応できる機能を搭載しています。
機能が充実しているのはURXの魅力のひとつですが、その反面、はじめは取っつきにくさを感じるのは正直なところ。
個人的な印象は、オーディオインターフェイスにミキサーとモニターコントローラーをドッキングしたような製品です。
どうしても機能面に目が行きがちですが、難しいと感じる場合は、まずはオーディオインターフェイスとしての基本性能に注目するのが良いでしょう。
後段でも述べますが、音の良さはクラス以上の品質だと思います。
多機能なことは強みです。はじめは使いこなせなくとも、将来的に活用できる設計と考えれば心強いですよね。
Simple Modeでかんたん設定
多機能で難しいとなると初心者の方や、機材が苦手な方には無理ゲー感が漂ってきますが、安心してください。
URXシリーズには、目玉機能のひとつとして、初心者の方でもガイドに沿って設定を進めるだけでセッティングができる「Simple Mode」が搭載されています。
アシスタント機能により、誰でもすばやく設定・操作できます。
ライブ音楽、配信、DAWレコーディングの使用目的に応じたプリセットが用意。
各項目の説明文も表示されます。
スピーカーのセットアップ、PCとの接続、ヘッドホンのセットアップ、マイクやオーディオ機器などもガイドしてくれます。
初心者の方にも親切丁寧なガイドなので、マニュアルを見ることなくURX22の表示される案内に従っていけば、基本的なセッティングは完了。
はじめからすべての機能を使いこなせる人は稀だと思うので、まずはSimple ModeでURX22の良さを十分に堪能してから、じっくりStandard Modeで細かいところまでカスタムして使用するのが良いでしょう。
なお、Simple ModeとStandard Modeは、いつでも切り替え可能です。
音質が良い
アウトプットのダイナミックレンジは、カタログ上のスペックが”125dB”というハイスペック機でもなかなか見られないレベルの数値。
参考までに、同社のUR22Cは105dB、UR22MK3は107dBです。
カタログ上の数値は一旦置いといて実際に聴いた感想は、某有名どころの音が良いとされているクリアでダイナミクスのあるオーディオインターフェイスと聴き比べても、遜色ない印象。
この価格帯でこのクオリティであれば、大変コストパフォーマンスは良いと言えるでしょう。
個人的主観では、YAMAHA/Steinbergのサウンドの傾向は、「色付けが少なくあっさりシルキー」な方向のイメージを持っていましたが、URX22もその印象は踏襲しつつも、クリアで解像度が高く、ダイナミクス溢れるサウンドに昇華しているように感じました。
モニター用途でも使えるフラットなサウンドです。
液晶のレスポンスが早く操作性がとても良い
URXシリーズは、本体の大型液晶ですべての操作を行います。
現時点ではPC上で操作できるソフトウェアは用意されていませんので、ここは好みが別れそうです。
各所機能や、ルーティングなどはどうしても慣れが必要と言わざるを得ませんが、ひとつ声を大にしてお伝えしたいのはレスポンスの良さ。
モッサリ感は皆無で、タッチの精度も良く、サクサク切り替わります。
特にクリエイティブな作業中に快適な動作と操作性の良さは極めて重要な要素ですので、ここはしっかりお伝えしたい部分ですね。
ほぼすべてソフトウェアで完結するということは、今後のアップデートで改良される余地もありますからそういった点にも注目したい。
なお、液晶の右隣に装備されているTOUCH AND TURNノブや、4つのツマミもしっかりと液晶内部のパラメーターと連携しており、PCやマウスに触らなくて良いのはストレスがかなり減るはずです。
超多機能
先ほど「オーディオインターフェイスにミキサーとモニターコントローラーをドッキングしたような製品」と書きましたが、本当にできることが多いのです。
各チャンネルに搭載されたDSPエフェクト内蔵による処理も可能で、レコーディング時などにPCに負荷をかけることなくクオリティの高い収録を行うことが可能なんですよね。
情報はすべてLCD液晶に表示され、もちろんコントロールもリアルタイムで出来るため、PCが無くとも手元ですべて完結できるのは他のオーディオインターフェイスにないアドバンテージではないでしょうか。
電源は、PCバスパワー駆動に対応していますが、不足する場合は別途電源供給することができます。
個人的にはPCの電源に負担をかけたくないので、給電できるのは好印象。
ヘッドホン端子とヘッドセット用アウトプット端子は2つずつ搭載されている。
Stream Deckとの連携
YAMAHAハードウェア製品間の連携機能に加え、Elgato社の「Stream Deck」との連携も可能。
Stream Deck用のMGX/URXプラグインも用意されています。
このプラグインを使えば、Stream Deckから直接MGXシリーズのデジタルミキシングコンソールやURXシリーズのオーディオインターフェースを操作できます。Stream Deckのボタンを使用して、入力/出力レベルやミュートのオン/オフといった主要な機能をリアルタイムで簡単かつ直感的に管理し、スムーズな操作を実現します。必要なMGX/URXの設定をアクションとしてドラッグ&ドロップするだけで、PA操作や録音、ストリーミングのワークフローを最適化できます。
先日レビューさせていただいた、YAMAHA CC-1でも同様のことが可能なので、組み合わせることで、より快適なワークフローが実現します。
質感・堅牢性に優れている
ヤマハの象徴である”音叉”の刻印が本体両サイドに刻まれている。
音質や機能満載なのはこれまで書いてきた通りですが、デバイスとしての質感・完成度も非常に満足度が高いです。
細部にわたる質感の高さに加えてズッシリとした安定感もあるため、操作していてズレる、なんてことは皆無。
サイズはURX22Cなどと比較しても一回り大きく(幅245mm × 高さ78mm × 奥行き182mm)、ラックマウント不可なデスク上に置くタイプで、存在感はかなりあります。
気軽に持ち運ぶには少し大きいし、あとデスクが狭い人は注意が必要ですね。
Cubaseシリーズ専用画面
Cubaseシリーズとはさらに連携強化が可能です。
AudioトラックのインスペクターからURXのタブをクリックすると、Cubaseの画面上にURXのDSPエフェクトのチャンネルストリップが表示されます。
ボタンのON/OFFは、手元のURXとCubase上で同期されており、EQの調整などはURXの液晶やノブで行えるので、大変直感的で良いですね。
付属ソフトウェア
Steinberg/YAMAHAのハードウェア製品ではお馴染みの、豪華付属ソフトウェアも付属します。
- Cubase AI
- Wavelab Cast
- Basic FX Suite
- Steinberg Plus
Steinberg Plus は Yamaha や Steinberg のハードウェアを購入された方への「プラス」な特典です。Steinberg の豊富なVST インストゥルメントやサウンド&ループセットから、選りすぐりのコンテンツを無償で提供します。
参考記事:Steinbergが誇るバーチャルアナログシンセサイザーの名機、Steinberg Retrologue 2レビュー【第1回】
さいごに
数日間使用してみましたが、まだ全容を把握しきれないほど多機能です。
とはいえ「専門家でないと難しくてわからない」という類のことではなく、慣れるまでに時間がかかるということです。
ひとつずつ理解していけば、使いこなせるようになるはずだし、そのための機能や操作性も作りこまれている印象を持ちました。
というわけで、URX22のポイント3つ書きます。ここにピンときた人は検討する価値は十分にあると感じました。
- 10万円以下の音が良いオーディオインターフェイス
- 多機能で全ての機能を使いこなすには時間を要するが、操作性はとても良い
- Cubaseと親和性が高い高品質モデル
特に、同社UR-Cシリーズや、他社のエントリークラスからのステップアップを考えているものの「10万超えは厳しい…」と感じているユーザーにとっては、コストパフォーマンスの高い選択肢になるのではないかと。
個人的に最も気に入ったポイントとしては「色付けの少ないクリアなサウンド」でした。
YAMAHAが本気で開発したオーディオインターフェイスを是非試してみてください。
ではでは。
