DAW

【歌声合成搭載】画期的な新機能に加え、より効率的に、より直感的に進化したDAW、Steinberg Cubase 15レビュー

スポンサーリンク
   

※本サイトでは、アフィリエイト広告を利用、またはプロモーション記事が含まれている場合があります。

Cubaseの革命は終わらない。

Cubase 14のリリースから早くも1年が経過しました。

Cubaseの進化をウォッチしていて、改めて感じることがあります。

ひとつは常にトレンドを的確に取り入れているということ。もうひとつは既存ユーザーに徹底して寄り添う改良を重ねているということ。

市場調査とユーザーフィードバックを決して疎かにしないSteinberg姿勢からは製品に対する強烈な愛情が感じられるんですよね。

Cubase 15のアップデートにはそういった思想が反映されているのではないかと思うわけです。

Cubase 15では、DAWソフトとして世界初となる「歌声合成VSTi」を搭載。

その他にも、ステム分離やパターンエディターのメロディックモード、古参ユーザー歓喜のエクスプレッションマップ、Cubase Hubの刷新など。

今回も一足早くCUBASE 15をデモさせて頂きましたので、レビューしていきますよ!

Cubase 15

CUBASE 15の主な新機能は次のとおりです。

  • パターンエディター『メロディックモード』
  • 歌声合成 VSTi『Omnivocal Beta』
  • エクスプレッションマップの刷新
  • 最大 4 要素までのステム分離
  • 新しいシンセサイザー音源『Writing Room Synths』
  • 新しいエフェクト『Ultra Shaper』『Pitch Shifter』
  • お馴染みのドラム音源が新バージョンに『Groove Agent SE 6』
  • 新しい Cubase Hub
  • モジュレーター、サンプルパックの追加

それではピックアップして見ていきましょう。

パターンエディターにメロディックモードが追加

Cubase 14で登場したパターンエディターに、Cubase 15では新たに「メロディックモード」が追加されました。

これまでは主にドラムパターンの入力・編集に特化したものでしたが、シンセサイザーやベースなどの音階を持つ楽器にも対応。

ブロック単位で音程を割り当てて、シーケンスを直感的に構築していくことが可能になりました。

さらに、ランダマイザー機能も搭載されており、ワンクリックで無限にシーケンスパターンを生成できます。

お気に入りのシンセサイザーを使って、ドラムはもちろん、メロディックなアルペジオやリフなどを完結できるのは良いですね。

類似した機能を搭載しているシンセサイザーもありますが、DAW側に搭載されることによって、統一された操作性が実現し、音源の差し替えが容易にできるのもポイントではないでしょうか。

歌声合成VSTi Omnivocal Beta が追加

つ、ついに、DAWが、Cubaseが歌います!!

DAWには世界初搭載となる歌声合成インストゥルメントの「Omnivocal Beta」は、YAMAHAブランドのプラグインで、Cubase 15に標準搭載されました。

VOCALOIDに代表される、YAMAHAが長年培ってきた音声合成の技術が光りますね。

選べる音声の種類は男性、女性の2種類。今後も声の追加が期待できそう。

フォルマントやエアー、ビブラートなどのツマミをコントロールすることで、質感や歌い方を変化させられます。

Cubaseのキーエディター内で歌詞の打ち込みが可能です。操作はとてもカンタンで、即座に歌ってくれるのでめちゃくちゃ楽しいです。

歌わせたい部分の先頭ノートを選択し、テキストの箇所に歌詞を打ち込むと、各ノートへ自動的に一文字ずつ歌詞を振り分けてくれます。

先頭のノートに打ち込んだ歌詞が確認できます。そのあとのノートのカッコ内にアルファベットでの発音が表示されるので、とても分かりやすいですね。

そして、なんと英語と日本語に対応!さすがヤマハ!神過ぎるだろ!!

肝心の質感も不自然さが少なく、良い…!

なお、Omnivocal Betaは、エントリーモデルのCubase Elementsを含む、すべてのグレードに搭載されています。

太っ腹過ぎじゃね!?太っ腹すぎじゃね!?

すいません、あまりの凄さに取り乱してしまいました…と、まぁDAWもここまで来たか、Cubaseやってくれたなといった感じです。

エクスプレッションマップの刷新

エクスプレッションマップの刷新は、これまでのCubaseにおける打ち込みの常識を根底から変える可能性を秘めています。

従来、ストリングス音源やブラス音源などでは「発音スピード」つまりアタックの遅れに悩まされるケースが少なくありませんでした。

音質は素晴らしいが、他のトラックとタイミングが合わないため、ピアノロールを微調整してノートを前倒しに配置する、いわば“職人技”的な対応が求められてきました。

しかし、音源を差し替えるたびに再調整が必要となるのは、大きなストレス要因ですよね。

特に複数のオーケストラ音源を併用する際など、細かなタイミング差が積み重なって全体のグルーヴを崩してしまうということもあるでしょう。

Cubase 15では、この問題をDAW側で根本的に解決。音源ごとに異なる発音タイミングをエクスプレッションマップ側で定義・補正が可能になりました。

一度設定しておけば、プロジェクトをまたいでもユーザーデータとして保存・再利用できるため、音源を変更しても、打ち込みデータそのものを触る必要がなくなります。

これにより、ピアノロール(MIDI)上では、より音楽的な表現に集中しやすいため、音源の調整のためなのか、音楽的な表現なのかを完全に区別することができると。

ステム分離

2ミックスなどのファイルを、ボーカル、ドラム、ベース、その他に分離させることができます。

分離完了したオーディオファイルは、Cubase上に個別に作成されるので、即座にミックス調整やエフェクト処理を始めることができます。

アレンジの再構築やリミックスの素材準備、さらには耳コピや教材用のトラック分析など、さまざまな用途で活用できそう。

分離精度は想像以上に高く、「DAW標準機能でここまでできるのか」と思わず感心するレベル。

従来は外部の分離ソフトを使う必要があった作業を、ワンクリックで完結できる点も大きな魅力です。

ヴィンテージシンセ音源 Writing Room Synths 追加

シンセが追加されるとテンション上がる!!(個人の感想です

HALion 7 / HALion Sonic 7上で動作する、80年代のヴィンテージシンセの音色が満載の、Writing Room Synthsが追加されました。

クラシックなシンセサイザーが得意とする、印象的なリード、ベース、パッドなどのプリセットが多数収録されています。

潔いほどにパラメーターが少なく、直感的でとても分かりやすいのに物足りなさは感じない仕上がりになっているところが非常に好印象。各パラメーターの効きも非常に良く、音楽的に効くものばかり。

アルペジエーター(8パターン)やエフェクト(4系統・6種類)は音色を切り替えても固定されているのも、個人的にはよかったですね。

プリセットはそのままでも使えそうなものばかりですが、更に自分好みに近づけて即使える、頼もしい即戦力シンセサイザーです。

新エフェクト2種追加

Ultra Shaper

新たに登場したダイナミックプロセッサー「Ultra Shaper」は、トランジェント制御、EQ、リミッター、オートゲインといった主要機能を統合したプラグインです。

視認性の高いインターフェイスと直観的な操作性のおかげで、複雑な設定を行わなくても自然でまとまりあるサウンドに仕上げることができるスグレモノ。

特にオートゲイン機能によって、コンプレッションで下がった音量を自動補正してくれるため、ダイナミクス処理に不慣れなユーザーでも分かりやすい設計。

音量感を保ちながら、アタックやリリースの変化を捉えることができるのは良いですね。

コンプレッサーをはじめとするダイナミクス系エフェクトは一般的に敷居が高い領域ですが、Ultra Shaperはその壁を感じさせす、高機能でありながら操作がわかりやすく、プロにも初心者にも扱いやすいバランスの取れたツールに仕上がっていると感じました。

Pitch Shifter

リアルタイムでピッチシフトが可能な「Pitch Shifter」も新たに搭載。

フォルマント補正に対応しており、ピッチを変えても声質を自然に保つことができるほか、意図的にフォルマントを崩して過激な変化を加えることも可能です。

また、DRIVEには3種類のサチュレーションタイプが用意されており、ピッチシフト後の音声に温かみや密度を加えることができます。キャラクター付けの手段としてだけでなく、クリエイティブなサウンドデザインにも活用できるでしょう。

さらに、ステレオ・アンリンク機能により左右チャンネルを独立してピッチコントロールすることも可能。微妙な揺らぎや広がりを演出する際にも効果的です。

シンプルながら、補正から変調、サウンドメイクまで幅広く活用できるプラグインに仕上がっていますね。

Groove Agent SE 6に刷新

Groove Agent SEがバージョン6にアップデートを果たしました。

音源内部にパターンエディターを搭載したおかげで、Groove Agent SE 6でリズムトラックを完結されることができまるようになったのは非常に嬉しいですね。

また、ミックスウインドウをエディターの下部に配置できるようになり、全体のバランスを素早く調整できるようになりました。

また、サンプルのピッチ検出機能が新たに搭載され、サンプルのピッチを曲に合わせる際に素早く対応が可能です。

キックやスネアなど、楽曲によってはピッチの調整をするだけで馴染み方が違ってくるため、作業効率に大きく貢献しそう。

新しいCubase Hub

Cubaseを立ち上げるとまず最初に開かれる「Cubase Hub」も使いやすくより進化しました。

メーカーからの情報などはタブに格納されてたおかげか、かなりスッキリした外観に。

表示するプロジェクトファイルを指定するなど、使用頻度の高いプロジェクトファイルを常設して表示するといったことが可能になりました。

また、プロジェクトを開く前に、音声で内容をプレビューできる機能も追加されています。

プロジェクトの設定→プロジェクトのプレビューを作成しておくことで、Cubase Hub上で短時間のプレビューを聴くこと可能になります。

似た名前のファイルが並ぶ中で、長いロード時間を経て開いてみたら別のプロジェクトだった…そんな経験が皆さん一度はあるのではないでしょうか。

複数の案件を並行して進めるゲームミュージック系のクリエイターさんなどは、特にありがたい改善ですよね。

また、時間が経過してしまって、ファイル名からでは記憶が呼び起せない場合などにも、重宝しそうです。

さいごに

冒頭でも書いた通り、トレンドと改良のバランスが素晴らしいですね。

本記事では紹介しきれなかった、新しい6種類のモジュレーターや、サンプルパック、コードパッドの新プリセットなども追加されています。

まだまだ進化が止まらないCubase。

今後の展開にも期待です。

ではでは。