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宝石のような見た目に釣られて買っても…大丈夫!
株式会社アユート様からのご依頼で、中国深センに本拠を置くカスタムIEMブランドqdcとアユートとの共同企画モデルイヤホン「FRONTIER」のレビューをさせて頂きます。
サウンドの評判に加えて、ジュエリー(宝石)さながらの圧倒的な見た目の美しさの相乗効果で、発売前から話題になってる本機。
qdcのイヤホンは、過去にSUPERIOR EXをレビューさせて頂いておりますので、比較も交えつつレビューしていきますよ!

提供:株式会社アユート
FRONTIER

FRONTIERは、qdcが培ってきたプロ向けBAドライバー(バランスド・アーマチュア型)を採用したIEM(インイヤーモニター)です。
BAドライバーは、中高域で繊細な鳴りを実現し、レスポンスの良いサウンドを得意とする一方で、低域が少々苦手なイメージがありますが、最新のテクノロジーでブラッシュアップすることによりバランス良いサウンドを実現しました。
<リアキャビティ・マイクロホール>
FRONTIERはqdc独自キャビティ構造を採用しており、使用しているカスタマイズドBAドライバーは背面に小さな排圧穴が開いています。「リアキャビティ・マイクロホール」と名付けたその構造は、そのBAドライバーのリアホールから内部のキャビティを通して感度と低域の調整を行っています。BAドライバーの背面からシェル背面までキャビティが作られており、そしてシェル背面にもマイクロホールが開いています。これによって、ハイインピーダンスでノイズを抑えつつも感度を強化して音量を取りやすくし、BAドライバーならではの高解像度サウンドに加えて、シングルBAドライバーの課題であった低域不足を自然な形で強化しています。
また、美しい見た目が気になってる人も多いかと思いますが、これは本機で新採用されたデザイン「トランスルーセント・ミラー・グラデーション」という仕様とのこと。

これほどまでにキレイで高級感があるデバイスがかつて存在しただろうか…!もちろん、サウンドはqdcクオリティなのでご安心。
デバイスは見た目も重要ですから(迫真
音質評価

サウンドについて評価していきます。筆者はこれまでに、制作用途としては十数台ほど数千円〜十万円台まで様々な価格帯の製品を使用してきました。
各項目、★5つで満点とします。
- 高域音質・・・・★★★★
- 中域音質・・・・★★★
- 低域音質・・・・★★★
- 解像度・・・・・★★★
- 音場の広さ・・・★★★
- 音の艶・・・★★★
- モニター・・・★★★
- リスニング・・・★★★
- 本体の高級感・・★★★★
※あくまで筆者の手持ちのヘッドホン・イヤホンと、今まで使用した製品との相対的評価です。今後使用していく過程で変化する可能性はありますので参考程度にとどめてください。
まず、リスニングでのファーストインプレッションは「少々ドンシャリ気味で、高域成分多めのスピード感あるサウンド」で、ダイナミックドライバーとは異なる、BAドライバーらしいサウンドだなと感じました。
レスポンスが良く、スピード感があるので、パーカッシブな楽器などが心地よく響きます。
低域
短い時間鳴っている低音、すなわちキックなどの低域成分(”トン”とか”ペチ”の部分ではなく”ズン”の部分)は少々苦手です。
一方で、”ズゥウン”とある程度長い時間鳴り続けるベースなどは、量感は少ないものの、20Hzくらいまでは存在を感じられます。BAドライバー1基ですごいと言われているのはきっとこの部分ですね。
スッキリしていて引き締まっているとも言えるし、物足りないとも言えます。ここは好みの問題なのかなと。

中域
中域はスッキリしていて、音の分離が良く、細かな音まで聴き取れるのでリスニングが楽しい。
音数の多いソースでも、それぞれの楽器がどのタイミングでどのような役割を果たしているのかが見えます。
この中域の見晴らしの良さは、低域成分が多すぎないのも影響してそう。
高域
FRONTIERの最大の特徴とも言える高域について。
ソースによってはハイハットやシンバルなどの金物や、硬くて早い音が刺さり気味だと感じました。
周波数特性を確認したところ「聴感上気持ちいい部分」がEQで突いたようにセッティングされています。

もちろん「高域が出過ぎてダメ」というレベルではありません。
女性ボーカルや、高域のストリングスなど、とてもキラキラしたサウンドで伸びやかに鳴るため「高域好き」な人にはたまらない味付けと言えるでしょう。
定位や音場
定位がハッキリしているというよりも、音のスピード感やクッキリ感があるので、一つ一つの音が確認しやすい、そんな印象です。
音場の広さはほどほどですが、音の分離感の良さとのマッチングが良いので不満がないです。非常にバランスがとれていると感じました。
音楽制作について
制作で使用する場合、中高域の音の鳴り方やタイミング、スピード感を磨き上げる際には活躍しそうですが、ミックスやマスタリング作業での低域のコントロールを重要とする場面にはあまり向きません。
ただ、低域のモニタリングがそれほど必要でない場合や、低域が鳴らないリスナー環境を想定しての音作りなどには重宝しそう。
よって、FRONTIERの得意分野を活かしつつ、他のイヤホンやヘッドホン、スピーカーなどと組み合わせて、適宜使い分けると良い結果につながりそうです。
高域刺さるのが気になる場合はフォームタイプイヤーピースが効果を発揮

シングルフランジのqdcTips Soft-fitイヤーピースが3サイズ(S/M/L)と、ライブ/モニタリング時など遮音性と外れにくさを重視したqdcユニバーサルIEMとしては初採用となるフォームタイプイヤーピースが3サイズ(S/M/L)付属。
高域が刺さるのが気になるという方は、付属されているフォームタイプのイヤーピースに是非変えてみてください。高域が少し柔らかくなり、バランス型に近づきます。

低反発な柔らかいシリコンなので、指でつまむと画像のようにグニャッと変形し、元の形状までゆっくり戻ります。耳の形にぴったりフィットしてくれるため、高い密閉性で外部のノイズをシャットアウト。
基本的な音の方向性までは変わらないですが、確実に音は変わります。「イヤーピースでこんなに変わるのか!」と思えるほどでした。

コンパクトで堅牢なケースが付属している。
しばらく双方を聴き比べましたが、個人的には高域が少々刺さる感はあるものの、ノーマルのイヤーピースの方が気に入りました。
長時間使用するには、装着感も少し柔らかいサウンドもフォームタイプがよいかもですが、ノーマルピースの方がFRONTIERの個性を感じられますね。
どうせ使うなら、高域のキラキラサウンドを堪能したいなと。

ケーブルには、高純度無酸素銅(OFC)4芯線ケーブルが使用されているが、簡単にリケーブルも可能。
装着感は非常に良いです。長時間付けていても、物理的な疲れはほとんど感じませんでした。

ケーブルクリップや、クリーニングツールも付属している。
レトロゲーム音楽との相性の良さも感じた
これは極めて個人的な見解ではありますが、今後自身のFRONTIERの使用方針として確立しそうなので記しておきます。
低域が控えめなため、FRONTIERは80〜90年代のファミコンやメガドライブといった、音数の少ないゲーム音楽との相性がとても良いように感じました。
最近のレトロゲーム系サウンドには、8bitスタイルでありながら、しっかりと低域が入っている楽曲も多く見られますよね。
もちろん、それは実機のポテンシャルを最大限に活かしたサウンドであり、それ自体の魅力もあります。とはいえ、「あえて当時の音で聴きたい」と思う場面もあり、そうした場合にはあえてチープなスピーカーやイヤホンで再生している方や、実際にそのような環境を構築している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昔のテレビやPCスピーカーの多くは低域の再生能力が乏しかったため、FRONTIERのようなイヤホンを導入することで、過剰な低音を抑えつつ、必要な帯域はクリアに再生する環境を再現できる、というわけです。
SUPERIORシリーズとの比較
SUPERIORシリーズはダイナミックドライバーなので、単純な比較は難しいのですが、全体をバランスよく鳴らすならSUPERIOR、中高域を繊細に鳴らすならFRONTIER、ざっくりですが、このような違いがあります。
特に、低域を存分に堪能したい場合は、SUPERIORの方が向いていると感じました。
参考記事:qdcとFitEar カスタムイヤーモニター2大ブランドのコラボモデル、qdc SUPERIOR EXレビュー
さいごに
FRONTIERは、こんな人に特にオススメです。
- 高域が好き
- 低域は引き締まっていて欲しい、またはあまり要らない
- スピード感のある音が好き
- レトロゲーム音楽を当時の雰囲気に近い状態で聞きたい
低域が控えめではありますが、中高域や音のスピード感、程よい定位感と音場感はエントリークラス以上のクオリティだと思います。
アクアマリンとエメラルド両方購入して、左右で色を変えるとオシャレですな。
ではでは。
※発売は2025年7月19日(予約受付中)