Initial Audioのウェーブテーブルシンセサイザー、Sektorをレビューします。
インターフェイスも名前も似ていることから、Serumを彷彿してしまうのですが、価格は圧倒的にSektorが安価。
これでシンセの実力がSerum級だったら超お買い得では…?と思っている人いるのではないでしょうか。
結論を書いてしまうと、世の中はそれほど甘い話はなく、基本性能ではSerumの圧勝。とはいえ、キャラクターが違うのかなという結論に至りました。
※この記事は2019年10月3日に投稿されたものに、加筆修正したものです。
ウェーブテーブルシンセ Sektor
Sektorはウェーブテーブル方式のシンセサイザー。ウェーブテーブル波形は200種類以上、プリセットは750種類以上が用意されています。
ウェーブテーブルだけあって、ダウンロード容量は大きめ(4GB超)。
CPU負荷は音色にもよりますが軽い部類で、若干非力なノートPC環境などでも、それほど気を使わなくても大丈夫です。
ライフタイムフリー(生涯無料)アップデートなのは嬉しいところ。
Serumとの比較
気になるSerumとの音の違いですが音質は全く異なり、ハッキリ言って別物です。。
- Sektor・・・アナログ感、温かみのある音だが、抜けが悪く鈍い音にも感じる。
- Serum・・・ヒンヤリ冷たいソリッドな質感。抜けが良いモダンな音。
視覚的に比較を行うために、双方ともにデフォルトで設定されているノコギリ波(SAW)をSPAN PLUSで計測してみました。
Sektor ノコギリ波
高域が落ちていて、アナログっぽい柔らかさが視覚的にもハッキリ現れています。
[Drive]をかけると高域が持ち上がり、音が明るくなりますが、低域も一緒に持ち上がるので音の傾向がかなり変わるんですよね。
Serumノコギリ波
高域まで真っすぐ出ており、可聴帯域以上もバランス良い。
Serumの抜けの良さが良く分かる画だなぁと。
同じノコギリ波でも波形やサウンドエンジンの違いでここまで音が異なるというは興味深いです。
概ね、この違いがそれぞれのキャラクターの方向性、相違点に当てはまると感じました。
プリセットは圧倒的Serumに軍配
プリセットはSerumの秀逸ぶりが光りますね。
そもそも、シンセ自体の性能が数段上の印象で粒立ちもSerumが圧倒してます。
SektorのプリセットはEDMっぽいものが多いのですが、良く言えば汎用性が高いのですが、どちらかというと中途半端。
モダンともアナログとも言い難い感じで、好みや手持ちのシンセで評価も変わる可能性がありますが、Sektorでなければという個性は感じ取れませんでした。
ただ、視認性は良く、操作性も悪くないので、各々の音作りでどこまで化けるかがキモとなるでしょう。
さいごに
というわけで、SektorとSerumは別物です。
Serumを求めてSektorを買うと失敗する可能性が高いです。
ただ、Sektorが悪いシンセというわけではなく、キャラクターが全く異なるので使い分けるとよいのかなと。
Serumは高いしセールもありませんから、とりあえずのウェーブテーブル入門でSektorをセール価格で買うのはアリ。
個人的には、定価で買うのはオススメしませんが、セール価格なら買ってみても良いのかなと思います。
ではでは。
https://synthsonic.net/archives/54025073.html