トルコ生まれの怪物シンセサイザー「SynthMaster」。
怪物の名にふさわしく仕様はかなりマニアックです。「シンセ系の音であれば作れない音は無い」と思えるほど多彩な音作りが可能なモンスターシンセ。
当サイト調べのランキングでもTOP10の常連です。
好きなシンセサイザープラグインランキング2019【SynthSonic調べ】
シンセをあまり使わない人が最初に選ぶシンセではないかもしれません。マニアックさを連想させるネーミングや、難しそうなGUIなどが原因なのか、どこかスタンダードになれていない気がします。
そんなSynthMasterですが、知らない人に少しでも良さをわかって頂けるように、シンセ用語はあまり使わずに書いていきます。
音について
音の特徴は次のとおりです。
- 太い
- 密度がある
- 抜ける音
SynthMasterに出会った時は「ハードシンセ並みに太い!」と感動しました。
EDMでもいけるんですが、デジタル臭さが控えめなため、どちらかと言うと往年のアナログシンセ音色が得意。リード、ベース等の存在感が必要な音に向いてると思います。
EDM系の派手な音をサッと出したい、アナログ感を追求したいとなると他のシンセが候補に挙がるので、バランスが良いとも言えるし、中途半端なキャラとも言えます。
波形自体がパワフルなこともあって、音色によっては、ボリューム・ブースト最大とかだとスピーカー吹っ飛ぶ恐れがあります。ヘッドホンだと耳やられますから気をつけて下さい。音の小さいプラグインと同時使用する場合は注意が必要です。
波形がしっかりしているせいか、エフェクトの乗りもいい感じ。空間系(リバーブ)がキレイに響きます。
音作りの自由度がスゴイ
往年の名機を高いレベルで再現することはもちろん、シンセマニアをうならせる変態的な音も出せます。相当懐が深いのでいじり甲斐スゴイ。 コントロールできるパラメーターは3,000以上!
基本波形が太く、フィルターの効きが強烈。オシレーターシンクの質感なども非常に滑らかです。モジュレーション系も複雑に組めるため変態的音色好きは興奮しますよ。
どういったアプローチをしても、音ヤセしない腰の強さが特徴。音作りをしていてもテンションが保てるのは非常に重要です。
バーチャルアナログの基本波形に加えて、往年の名機からサンプリングしたウェーブテーブルが大量に入ってます。 moog、Oberheim、Prophet、Arp Oddysey、Waldorf、YAMAHA、KORG、Roland、Fairlight・・・など。
Rolandだけでもこの通り。
異常なまでのバリエーションですw
ウェーブテーブルは基本波形ではなく、実機である程度音作りしたものが収録されています。それぞれの個性を活かした波形なので、音色バリエーションに富んでいます。
更にはSFZファイルを読み込めるので、波形の追加も可能。もう可能性は無限大。
FMも強い
いかにもFMというゴリゴリベースがやけに図太くて良いです。FM音源立ち上げなくてもSynthMasterで良いかな?って思ってしまうほど。 FM音源とアナログシンセの中間のような音色が得意なんですよ。
FS1Rのプリセットにもあるような、鋭く滑らかなFMリードも出せます。しっかりと太くアナログ感を残しつつも、FMの色を出せるのが嬉しいです。
ディストーションが素晴らしい
エフェクターも全体的にクオリティが高く、中でも特筆すべきはディストーション。調整次第ではJD-990のディストーションリードっぽい再現も可能。
シンセ波形に馴染むディストーションを搭載しているところが流石です。
生方さんもベタ褒め
これはバージョン2.5の時ですが、生方ノリタカさん(@ubieman)がSynthmasterの機能についてツイートされています。プリセット作られてることもあって専門的な観点で説得力が違いますね。
負荷・安定性について
音の良さはもちろん、負荷も同じくらい重要ですよね。
2.6くらいまでは、割と重く立ち上げることに少々抵抗がありましたが、2.7のアップデートで大幅に改善され立ち上げスピードもかなり早くなりました。
環境にもよりますが、今となってはそれほど負荷は感じません。
再生しながらフィルターをグリグリやったりすると少々危険ですが、無茶をしなければ概ね安定しています。
アナログ感のある音が欲しい、となった際に、DivaよりもSynthMasterを選ぶ最大の理由はこの部分ですかね。軽さは使用する動機に大きく関わっています。
https://synthsonic.net/archives/%e3%82%bd%e3%83%95%e3%83%88%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%82%a2%e3%82%b7%e3%83%b3%e3%82%bb%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%82%b6%e3%83%bc%e3%81%aecpu%e8%b2%a0%e8%8d%b7%e3%82%92%e6%af%94%e8%bc%83%e3%81%97%e3%81%a6.html
大物アーティストも愛用
公式にはArmin van Buurenをはじめ、大物達の写真がありますが、日本のシンセ使い代表とも言える小室哲哉さんも愛用してます。よくテレビとかにも映ってます。
左の画面にSynteMaster、Nexus2、右の画面にはTone2のELECTRA2ですね。
SynthMasterの種類
で、どれを買ったら良いの?という疑問にお答えします。SynthMasterの種類は次のとおり。
- SynthMaster V2.9
- SynthMaster Player
- SynthMaster One
大きく分けて上記3種類。あとはバンドルだったり、iOSアプリだったりです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
SynthMaster V2.9
フラッグシップモデルのSynthMaster V2.9。
VA、Additive、Wavetable、Phase Modulation、Frequency Modulation、Pulse Width Modulation、Ring Modulation、Amplitude Modulation、Physical Modelingなどあらゆるシンセサイザーの音源方式を搭載しています。
プリセットは1,800種類収録されているので、そのまま使うもよし、音作りの起点にするもよし。
ちなみに、GUIがシンプルなのは、負荷を最小限に抑えるためです。
ちなみにぼくは、買った後に拡張プリセット全部入り(総数5,000種類以上)のEverythingにアップグレードしました。お金ある人、音作りやらない人、お金に余裕がある人は最初からEverythingを選んでおけば間違いないです。
音作りがバケモノのシンセなので逆説的ですが、音作りしなくても成立するプリセットマシーンに変貌しますw
そして、2019年中にリリースされるであろう、V3.0への無償アップグレードパスもついています。
拡張音色は小分けで売られていますので、欲しいものだけを追加することもできます。
SynthMaster Player
音作りに自信が無い、だけど使ってみたいという方はPlayerがオススメ。V2.9と同じく1,800種類のプリセットが収録されているのが魅力。
簡易的なエディットしかできませんが、安価(3,000円くらい)なのでまずはこれを試すのもアリです。気に入ったらアップグレードもできます。
また、550種類のプリセットが使用可能なSynthMaster Player無料デモ版も用意されています。
SynthMaster One
別途記事があるので、こちらを参照してください。
SynthMaster Player iOS
ぼくは使ってないんですが、iOSアプリもあります。
PCでエディットした音色をエクスポートできますので、作った音色を持ち運ぶことも可能。逆はできないみたいです。
無料版は100種類のプリセットが使用可能で、有料版は800種類が使用可能です。
さいごに
モンスター級の音作りが真骨頂ですが、アナログの質感、モダンなデジタル感では専用機に劣るものの、負荷や音の使いやすさ、バランスの良さがSynthMasterの持ち味なのかなと。
濃厚な音質なので、曲に説得力を出したい時にも使えます。主張し過ぎない感じも良い。
質の高いバーチャルアナログシンセが欲しいけど、EDMっぽくないソリッドなものが良いというスキマ志向の人にオススメしたい。
あとは安価なのもポイント。よくセールをやっているので狙ってみてください。
ではでは。