ファミコン、スーパーファミコン、メガドライブ、ゲームボーイ等の家庭用ゲーム機の音をサンプリングしたゲーム音源「Super Audio Cart」(以下SAC)をレビューします。
IMPACT SOUND WORKSが販売しているKONTAKT用ライブラリ。
ってかネーミング、完全にスーパーマリオカートですよね。
開発チームは相当なスーパーファミコン好きなんでしょう。GUIのカラーリングもモロ。
Super Audio Cart
IMPACT SOUNS WORKSが2年の月日を費やして完成させた6,000以上のサンプルからなる巨大ライブラリです。プリセットは1,200以上。
全ての音は実機から丁寧にサンプリングされているので非常にリアルです。というかまんまです。
搭載されている音源の実機を紹介します。専門的な説明は他に譲りますw
Nintendo NES
海外版ファミコンです。音は基本的にファミコンと同じです。 2A03チップを搭載しており、PSGと混同されることが多いですが別物です。
Nintendo Family Computer
ファミコンといえばコレですよね。なんて落ち着く色使いなんだw
基本音源部分はNESと同じですが、SACでは拡張音源であるコナミ製VRC6、VRC7(FM音源)、及びディスクシステム部のFDS音源がv1.1からFC音源部として追加収録されました。
強烈な要望があったんでしょうねきっとw
Nintendo SNES
Nintendo GameBoy
ベースのブリブリ感が気持ち良い波形メモリ音源が搭載されています。
Sega Genesis(メガドライブ)
メガドライブですね。YM2612チップを搭載したOPN系のFM音源です。ちなみにGenesisの方がノイズが少なく、音が良いと何かで読みました。
Sega MasterSystem
PSG音源の一種である、DCSG音源(SN76489チップ)です。独特の矩形波の音は今でも多くのファンがいます。クリアな矩形波はいくらでもありますが、SACはビットレートの低いDACを通った実機の音な感じが良いです。温かみのある音。
Atari2600
コンピューターで音を鳴らすための専用チップがはじめて採用されたのがAtari2600らしいです。家庭用ゲーム機の元祖ともいえるハードです。アメリカで大ヒットしました。 初期のゲーム機だけにノイズで作られたSEがたくさん入ってます。どれも味がある音で、アタリのゲームを良く知る人であれば興奮モノじゃないでしょうか。
C64
コモドール64です。機能美だなぁカッコイイw移植されたゲームのラインナップからして家庭用ゲーム機と言ってよいと思いますが、一応は8bitパソコン。
SID(6581)音源と呼ばれる、この時代にしては珍しい数種類の波形に、変調やフィルターまで搭載しているというシンセサイザーを内臓したようなハードです。 シンセらしい音がします。
音の傾向
SACを買うのは80~90年のゲームを知っている人だと思います。
聴いた瞬間にコレはあのゲームの音だ!とわかるものがたくさんあるので聴くだけでも面白いです。
音は基本的にクリアですが、結構太く実機で鳴っている感があるところが嬉しいところ。ゲーム音源を再現したvstiなどよりも実機の雰囲気が出てます。
基本的なシンセサイズは一通り出来るようになっており、アルペジエーターやエフェクターも搭載されています。直感で触っても理解できるレベルです。
異なるゲーム機の音色をレイヤーするなんて夢のようなこともできます。先述した実機を持ってきてやるとなると大変な作業ですからねw
GEN(メガドライブ)のプリセットはゲーム名がついてる
なぜかGENの音色だけはゲーム名で入っていることが多いです。PS(ファンタシースター)
とか、Rage(Street Of Rage:日本でいうベアナックル
)等。ちなみに「Speedy1」はソニック・ザ・ヘッジホッグのベースそのものでしたwソニックの名称大人の事情で使えなかったんでしょうね。
SNESのリバーブ搭載
デモ
以前作ったエスカトスからSilver Liningです。
1曲目:Silver Lining
VRC6で鳴らしてみました。SACにはドラムキットもVRC用が入っているのですが、イマイチそれっぽくなかったので、自前のサンプルにしてます。ファミコン音源なのであえてステレオにせずに定位等は触ってないです。エフェクトもゼロ。
2曲目:Survive
こちらもエスカトスからSurviveです。スーパーファミコン音源。音色のチョイスが重要ですが、なんといっても先述したようにSNESリバーブの存在が光りますね。独特の味が出ます。 オケヒなんかも入ってて良いです。
数年前に打ち込んだMIDIデータの音色を変えて、少し調整しただけですので仕上がりはまずまずといったところです。
※8月18日追記
POINT OF NO RETURN
GENESISでも鳴らしてみました。エフェクト無しです。
ただ鳴らすだけでは「~風」にしかならない
音色を入れ替えて鳴らして感じたのですが、ただ入れ替えるだけでは何となくの雰囲気しか出ないんですよね。
音自体は実機の雰囲気が出まくっているので、コード楽器も1音ずつ分解してパンを左右に振ったり、同時発音数の制約を考えて鳴らしたり、そういった細かな部分を突き詰めると実機さながらの再現度になると思います。
さいごに
実機を知っているゲーム音楽ファンであれば、音を鳴らしているだけでもノスタルジーに浸れることは間違いないです。
音色の選定が少々面倒くさかったり、全てのゲームの音色を網羅しているわけではないので少々偏りがあったりする部分はありますが、手軽にチップチューンを楽しむならこんなに素晴らしいシンセはないんじゃないかなと思います。KONTAKTが必要ってのはありますがw
VRC6、VRC7、FDS音源が搭載されたことで個人的には歓喜の音源です。しかもしっかりハードの質感、DACを通った電気的な音がすることが特徴です。
SNES音源で遊ぶのも非常に楽しいので、色々と鳴らしてみたいですね。
ではでは。