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「誰が音楽をタダにした?巨大産業をぶっ潰した男たち」を読んだのでレビュー

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思いっきり、いかにもなタイトルにつられてお試し版を読んでみたんですが、すっかりハマっちゃって最後まで読み切ってしまいました。

この本は「海賊版の世代」である著者が、自身の大量の海賊版ライブラリを漁っている時にふと疑問に思うところから始まります。


数年前のある日、ものすごい数の曲をブラウジングしていた時、急に根本的な疑問が浮かんだ。ってか、この音楽ってみんなどこから来てるんだ? 僕は答えを知らなかった。答えを探すうち、だれもそれを知らないことに気づいた。

 

そこから5年もの歳月をかけて、多方面に協力を求め、「音楽をタダにした」のは誰か?を徹底的に取材したノンフィクションです。MP3開発者、音楽界の超大物、世界最強の音楽海賊本人から直接取材していることもあって、ホントか?と思えるほど内容は濃くてリアルです。

読み物としてもかなり面白いので紹介してみたいと思います。

ざっくり概要

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本書は、いかにもなタイトルで「著者の主観が入り込んだ音楽ビジネス衰退の犯人探し」と思われそうですが、そういったゴシップ系の内容ではありません。

MP3が作られたから?音楽の売り方が悪かったから?海賊版が出回り過ぎたから?

本はそのような含みも持たせつつ進みますが、偏ったものの見方は全く感じませんでした。

音楽業界の栄枯盛衰の裏側で起こっていた事実が生々しく記されていて、事実を調べた上であとの判断は読者に委ねているような印象すら受けます。

ガチでリアルな調査を行っているので内容が濃いです。その上ストーリー性が高く、まるで小説を読んでいるかのような気持ちになります。時々ふと、作り話じゃないのか?と思えるほどです。

先述した、MP3開発者、音楽界の超大物、世界最強の音楽海賊の3人が、全く違う人生を歩みながらそれぞれが「音楽」と向き合っていく様が描かれています。

カールハインツ・ブランデンブルク

カールハインツ・ブランデンブルク・・・MP3の生みの親

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ダグモリス

ダグ・モリス・・・最強の音楽エグゼクティブ。

関連記事⇒米ソニーミュージック会長のダグ・モリスが年収24億円でソニーと再契約

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デル・グローバー・・・工場の従業員で世界最強の音楽海賊。顔写真は公表されていません。

全世界中で活用されまくっている偉大なフォーマットMP3の歴史や、1番音楽が売れていた時代に絶大な影響力を誇った音楽エグゼクディブが何を考え、どうやって音楽を売っていたのか、音楽業界の歴史を知ることにも参考になるでしょう。 

歴史で振り返るというよりも、当事者本人の人生を振り返る内容ですから読み応えがあるんですよ。それぞれが1冊の本になってもおかしくないほどの人物なんですよね。 

音楽海賊にまで会ってる

グローバーが、どうやって海賊行為を行っていたか、稼いた金でどういう暮らしをしていたか、など詳細が記されていて、実に読ませます。彼はまだデジタルメディアに対しての法整備がされていない時代 から海賊行為を行っていたパイオニアです。


発売前のCDの曲が世界中にどうやって出回っていたのか?ある種暴露本的な感じです。生々しい実態が記されています。

音楽業界の裏の歴史とでも言いましょうか、そういった事件もあって現状の音楽ビジネスの形態にも影響を与えていったのは間違いないでしょう。

さいごに

ブランデンブルクや、モリスは著名人ですから知っている人も多いかと思いますが、ぼくは知らないことばかりだったので、とてものめり込んで読めました。

読了して感じたのは、きっとこの人達が居なくても、他の誰かが似たようなことをやっただろうし、何かしら違ったかたちで、音楽ビジネスの現状は変わらなかったんじゃないかな?と思います。

インターネットによるグローバル化は誰にも止められません。音楽に限らず、デジタルコンテンツの宿命というか、時代の流れなのは自明ですね。

CDからデータへとメディアが変遷していった時代を生きてきた方々にとっては、自分自身と音楽が触れ合ってきた過去を思い出しながら読めると思いますし、ハードディスクに音楽が入っていることが当たり前の若い世代にも勉強になると思います。

映画化も決定しているそうで、楽しみです。

ではでは。