“誰でも使える”をコンセプトに制作されたユニバーサル・ストリング・アンサンブル・ライブラリ、SOUNDIRON「Hyperion Strings Elements」をレビューします。
Native Instruments Kontakt Player(無料)で使用可能で、そういった部分も”誰でも使える”のが嬉しいところ。
オケ音源、特に弦楽器は難しい、という方や手早くリアルな表現を打ち込みたいという時短目的でも実力を発揮するストリングス音源です。
Hyperion Strings Elements
収録インストゥルメントは、バイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス(マスター/レガート)楽器を音階ごとに割り当てたアンサンブルが用意されており、合計9種類。
- Ensemble – Master
- Violins – Master
- Violins – True Legato
- Violas – Master
- Violas – True Legato
- Cellos – Master
- Cellos – True Legato
- Basses – Master
- Basses – True Legato
手軽に切り替え可能かつ豊富なアーティキュレーション
アーティキュレーションはワンクリックで切替可能です。それぞれの音色には画面上に12種類が割り当られますが、楽曲ごとの使用頻度に合わせて自由に変えることもできます。
MIDIキーボードにも割り当てられますが、その場合は61鍵盤以上あったほうがやりやすそう。
スタッカートやピチカートなど、弦の立体感が感じられ、非常にリアルです。一般的に考え得る弦楽器の表現は全てみつかるのではないでしょうか。
手早くリアルに打ち込み可能
モジュレーションホイールにストリングス音源のキモとも言える[SWELL]が割り当てられているため、リアルタイムはもちろん、打ち込み作業でも手早くオートメーションを書き込むことが可能です。
ソロバイオインのレガートを[GLISS]で弾くと一気に生々しさが出るんですよね。
ストリングス音源は特にこういった細かい部分のニュアンスを表現できるかがキモなので、手早く打ち込めるのは大きなアドバンテージです。
エフェクター
フィルター、コンプレッサー、3バンドEQが搭載されています。
よほどこだわりがない限りは内部エフェクターで事足りるはず。しっかり効きます。
フィルターは12種類用意されており、[Pro53]というのがあるのですが、かつて存在したNative InstrumentsのProphet-5をエミュレートしたシンセサイザー、Pro-53のものでしょうか…w
空間表現
リバーブは10種類から選択可能。教会やホール、野外など。
中央の[サウンドステージ・ポジショニング]は、ドラッグして移動ができるため、楽器のポジション(パン・奥行)を視覚的に確認しながら調整が可能。
アンサンブルでは4つの楽器をバランスよく配置することで、1つのインストゥルメントながら臨場感のあるサウンドが実現します。
音について
使いやすい質感で、オールラウンドにハマる音源です。
どちらかというと少々ドライなので、シネマティック音源というよりも、その他のジャンルに合いそう。
普通にノートを弾いただけでは、どこにでもある弦音源なのかな、と思ったのですが、先述したアーティキュレーションと奏法を組み合わせると一気に化けます。
サンプルベースの音源ながら、豊富なアーティキュレーションの使いやすさから表現の幅が広がることで、リアルさにつながるんですよね。
CPU負荷
負荷は軽いです。
以下の環境で計測しています。
- OS ・・・Windows10 64bit
- CPU ・・・AMD Ryzen 9 3900X [3.8GHz/12Core]
- メモリ・・・64GB [DDR4-3200 16GB×4]
- DAW・・・Cubase Pro 10.5
ちなみにインストールサイズは約10GBほど。
さいごに
簡単な操作でリアルな表現を追求したストリングス音源なので、動きのある弦楽器の表現にチャレンジしたい方にオススメですね。
操作性にもかなり工夫がされており、ユニバーサルの言葉に恥じない音源です。
また、製品自体が安価なことに加えて、Kontaktフルバージョンが不要という、コストパフォーマンスにも優れていることも大きなポイントです。
ではでは。
SOUNDIRON Hyperion Strings Elements