マルチ音源って色んな音が入ってますよね。ファミレスのメニューで言うとミックスグリルみたいな感じ。長所はオールマイティであること、短所は中途半端なこと。専用音源に比べて、コレといって突出していない(音作りの自由度が低い等)ことです。
そんな、人によっては個性が薄いとも言われるマルチ音源ですが、私はオールマイティさとPCMの音質が何とも好きでして、現在でも手放せない存在になっています。まぁ最近は全部入り音源の巨艦音源が各社から出てますのでそんな印象もないのかもしれませんが。
そんなわけで、初代MOTIF-RACKのレビューです。
発売から14年経ってますが、まだまだ使える音満載の名機です。個人的にはキーボード系の音色を推したいです。
概要
MOTIF-RACKは2003年1月発売。新開発のLSIを搭載したAWM2音源。
2001年に発売されたMOTIFのラックバージョンです。波形の数や容量はMOTIFと同じですが、RACKは同時発音数が62音→128音に増強、リバーブも高品位なものを搭載してます。DAW制作の流れからシーケンサーとサンプラーは省かれてます。ソフトシンセに対抗すべく、価格競争に勝つための戦略だったようです。
対抗馬のKORG TRITON(2000年)、Roland XV-5080(2000年)の様子を見て、満を持して登場した感じですね。1Uにして価格下げてセールス的にも美味しいところ全部持って行くというwさすがは王者YAMAHAです。
デモ
YAMAHAといえばやっぱりピアノ
イチ押しのエレピ
オルガンも良い
その他
※全体的に音小さめなのでボリューム上げて聴いて下さい。
やっぱキーボード系の音色が秀逸過ぎる。オケにも馴染んでプロっぽい音になるんですよね。ソフトシンセではパッと出ない音。
アーティストが作った音色入り
MOTIF-RACKのプリセットボイスには、MOTIFシリーズを使って音楽シーンで活躍する5人の国内アーティストが、実際にライブや音楽制作現場で使用している10音色が含まれています。ここでは、それらのボイスを、作成した本人からのコメントとともにご紹介します。
なんと豪華な!YAMAHAがどんだけ気合い入れているかがわかりますね。
順番に録音してます。
Mikuni’sFI(PRE4, No.41)
8フィートを基本にしたオルガン。アフタータッチでもロータリースピーカーがコントロールできる。ケルトミュージック系、70’sブリティッシュロックオルガンサウンド。
基本的には、ピアノ系の音色とレイヤーすることを前提に作ったPADです。ピアノやエレピにレイヤーして、サウンドの幅を広げてください。
■遠山 裕
ヒャダインさんのあの音も入ってるし!(作ったわけではない)
FM音源やAN音源等を拡張出来る
Rolandでいうエキパンです。当時は音源にプラグインさせるのが流行ってました。というより、メモリが少ないから仕方なかったんでしょう。今や全部入りフラッグシップ音源はハードの皮を被った巨大メモリソフトシンセみたいな感じになってますからね。
ちなみにMOTIF-RACKには最大2枚同時に拡張出来ました。何を拡張されるか考えるのが楽しいんですw個人的にはDXとVLが良いかな。
PLG150-DX
FM音源ボードです。初代DX7相当で、もちろんDX7よりもプリセットがたくさん入っており、なんと912音色!DX7はDACが12bitで粗い音ですが、MOTIFのDACで出すFM音源はとてもクリアです。34,800円。
PLG150-AN
アナログモデリング音源です。アナログシンセの音がたくさん(256音)入ってます。5音ポリですから、AN1X相当でしょうか?肝心の音は、AN1XやEX5ほど良くないとも聴きますがどうなんでしょう?34,800円。
PLG150-VL
物理モデル音源です。EX5の直径なので、音は最高です。VL7に匹敵するとか。同時発音数は1ですが、とても気持ち良い音で、存在感が有ります。トランペット、尺八が秀逸。19,800円。安いな!
PLG150-DR
MOTIFのドラムも入ってるみたいですが、アンビエントを含んだステレオ感のあるロックドラムも収録しているそうで、各方面で評価高いです。MOTIFに挿すというよりもMUシリーズに挿した方がお得感あるのかな。29,800円。
PLG150-PC
Q Up Artsの「Latin Groove Factory」からパーカッションサウンドを収録しています。29,800円。
PLG150-PF
搭載すると、同時発音数が64音追加されるピアノ専用音源です。39,800円。
PLG150-AP
国内では未発売のボード。希少ですね。オークションにたまに出るようで、同じピアノのプラグインボードでも、PFとは中身が違うようです。価格は不明。
あっさりした音。弱音に割り当てられているゾーンが広いようで、音が小さく聞こえる。ベロシティカーブを少し調整した方がいいのかもしれない。PFはサスティンレベルが高くて使いにくいが、APはそういうことはない。なんか、地味だけど使いやすい音のように思う。
PLG100-XG
スペックはMU50同等ですが、波形をリファインしてMU100相当になっているとか。でも実際使った人に言わせるとMU100とも違う音のようです。だってMU100に拡張するくらいですから。24,800円。
このPLG100-XGの収録音、実はどのMU系とも違う音を出すんです。これこそが『リファイン』された音という訳なんです。
エディターでPCから操作可能
マルチパートエディター
Cubase上ではUSB接続でエディターも操作出来ます。VSTではなく、デバイスマネージャとして使用出来ます。
もうひとつのボイスエディターは細かく音作り出来ますが、マルチパートエディターでもADSRくらいは簡単に調整出来ます。制作の視点で作られており、かゆい所に手が届くのでなかなか使い勝手が良いです。動作も軽い。ただ定期的に同期するのか、ポインタが砂時計になる時が有りますが、そこまでは気になりません。
公式ではXPバージョンまでしかありませんが、Windows7でも問題ありませんでした。スタンドアロンもOKです。
さいごに
ピアノは流石に現行XFの足元にも及ばない感じですが、キーボード音色は頑張ってます。
EX5より音が細くなったとか、MU2000の方が使いやすいとかいう声もありますが、何と言ってもMOTIFの元祖ですし、一時代を築いたプロ仕様の音源だけあって良い音源です。
オークションや中古であれば20,000~30,000円くらいの相場ですから、キーボード音色の為に買ってみても良いかもしれません。シンセの音よりも生楽器系がオススメです。ストリングストピアノ・エレピのレイヤーとか、きれいな音が得意です。
ちなみに、起動スピードはFS1Rよりちょっと遅いですね。
ではでは~!