StudioKaeru
「とーくばっく」の著者、David Shimamotoさんにインタビューを行いました。どんな方か気になっている方も多いのではないでしょうか?

とーくばっく」とは著名な方々も推薦されている、音を生業に趣味にしている音楽人であれば必携の教本です。

METAFIVEメンバーでいらっしゃるゴンドウトモヒコさんも推薦されています。
「ダブルカセットで宅録を始めて今まで全てが我流、この本を読んでかなりモヤモヤして悩んでたものが無くなりました。 それは”録音のレベルについて”です。

METAFIVE(高橋幸宏 × 小山田圭吾 × 砂原良徳 × TOWA TEI × ゴンドウトモヒコ × LEO今井)

今回はShimamotoさんの経歴や現在のお仕事、そして使用機材に至るまで細かくインタビューすることができました。

「とーくばっく」の読者はもちろん、「とーくばっく」の購入を検討されている方、是非是非読んでみてください。

全5回です。
音楽家必携の書「とーくばっく」著者、David Shimamoto氏インタビュー①
音楽家必携の書「とーくばっく」著者、David Shimamoto氏インタビュー②
音楽家必携の書「とーくばっく」著者、David Shimamoto氏インタビュー④
音楽家必携の書「とーくばっく」著者、David Shimamoto氏インタビュー⑤


使用機材について つづき
Pure2

うーん、超気になりますが色々とご事情もあるでしょうし、仕方ありませんね。それでは次に、ヘッドホンについて教えてください。



「Audio Technica ATH-M50(非xの旧モデル)」と、「Sony MDR-CD900ST」を使用しています。 

昔在籍していたスタジオではAudio Technica A9(かなり以前に生産終了)がチーム内の標準になっていたので、それ以降なんとなくテクニカの音になじんでしまい、こちらを使っています。

900STは2001年頃に購入しました。DTMerの中には、憧れの900STを入手はしてみたものの「えっ、これが業界標準の音!?」と戸惑った方が大勢いらっしゃると思います。私もその一人でした。 

長らく放置していたので本来ここに書くほどでもなかったかもしれませんが、最近になってようやく使いどころが見えた気がして、使用頻度が増えています。 

まだ実験中のためうまく説明する言葉を持ちませんが、今後音圧競争もひと段落して「ダイナミックレンジよし」「分離よし」な楽曲が増えれば、サブ・モニターとして近々再評価される可能性もあるモデルだと思います。


スピーカーと比較して、ヘッドホンは我々にも手が届くものでホッとしています。高級ヘッドホンを使用しないのには理由がありますか?



単一のモニタ機器でミックスのすべてが見渡せたら理想的ではありますけど、残念ながら現実にはそれぞれの機器でしか見えないものがあります。

私見ではありますが…所有機器における代表的な例として、RL906ではトラック間のバランス、エフェクトの量、ダイナミクスなどはよく見えますがローの量感はそれほどわかりません。

なのでATH-M50で補っています。そんな風にそれぞれの機器の特性を幾分か把握して弱点を補いあえていることの方が、個々の機器が高級であることよりも重要だと思いますし、これまでヘッドホンを強化する必要性を感じなかった理由でもあります。

と言いつつ、おかげさまで最近ミックスの依頼が徐々に増えてきたのでもう少し作業効率を上げられたらと試みに注文したHD600が数日のうちに届くことになっています。


Active Mixcubeもそうですが、用途を絞り補い合う機材の選択というのは非常に効果的かつ、予算をかけずに良い環境を築けそうです。参考になります。

CD900STはぼくも使用しています。優秀なヘッドホンだとは思うのですが、巷でも耳にするようにミックスには向かないと考えています。Shimamotoさんはどう考えてますか?


先ほどの話にも関連することであり、つい先日ツイッターにも少し書いたのですが、過去の作品で良音質とされる盤は900STではどれもクリアに聴こえることに気付きました。クリアというだけで、気持ちよく聴けるのとはまた別ですね。

一方、ローがダイナミックでもボーカル単体ではVUメータがほとんど振れないであろうタイプの現代的なミックスは、大体ダンゴに聴こえるように思われました。

どちらのサウンドを志向するかどうかは好き好きではありますけど、主役となるパートもダイナミックに振る舞うようなミックスを目指す場合、900STはリトマス試験紙として悪くないと思います。

先ほど言いましたように900STは購入から15年近く放置していたので、この視点については来週には違うことを言っているかもしれませんが…あと、よく言われるように素材のノイズを探すときなどには優秀だと思います。


そういう観点で900STを使ったことはなかったですね。過去の名盤を聴いてみたいと思います。一概にミックスに向かない、とは言えなさそうですね。次はオーディオインターフェースについてお願いします。



2年ほど前からAntelope Pure2を使用しています。

私が書いた、YouTubeに最適化したマスタリングに関する記事をご覧になった方からマスタリングの依頼があったのですが、それがまた非常にお断りしづらい筋からでして… こりゃ中途半端なことはできないなーと思い、予算内で最低限2in/2outを持ち、もっとも音がニュートラルであると判断したモデルです。 

はじめは買い替えるつもりはなく、とりあえず現在のI/Fでどのぐらい損をしているかを把握しておこうと思い、楽器店にノートPCとI/Fを持参し、いろいろ聴き比べててみまして。 

持ち込んだI/Fではホワイトノイズにしか聴こえなかったハイハットが、より高価なI/Fではちゃんと金属を叩く音がしていたのはかなりショックでした(苦笑)こうなると多少背伸びをしてでも買い替えざるをえず、初めてローンを組みました。

USB2.0接続もできる機器ですが、最近思うところあってLynxのPCI-Eカードを経由してのAES/EBU接続に変えました。

仕事がきっかけというのは思い出深いですね。同価格帯でRMEのUCXや、Apolloなどもあったと思うのですが、候補には挙がらなかったのでしょうか?あと、接続方法を変えた"思うところ"というのは?



うろ覚えですが、UCXは試したように思います。マルチチャンネルのI/Fとしては優秀ですが、UCXに限らずI/Oチャンネル当たりの価格差はそれなりに品質にも表れていた印象を受けました。

また、Windowsユーザであることと利便性から、USB接続の機器に限定して試していたことからApolloは除外したように覚えています。

I/FのUSB接続をやめたきっかけはですね…少し前にお邪魔したあるアーティストの自宅スタジオで、ホントいまさらではありますが、これまでなんとなく意識的に避けてきた「USBケーブル交換による音質差」を目の当たりにしてしまいまして。

ちょっとしたミックス品評会みたいな場だったのですが、満場一致で指摘されていた複数のミックスの粗が、USBケーブル一本を交換することですっかり消えてしまって…良し悪しとは違う軸で、ミックスバランスががらりと変わってしまい、どちらが正解かわからない状態になってしまいました。

余談ながら、帰宅後に同じ音源を自分のシステムで聴くと、やはり高価な方のケーブルに近いバランスだったわけですが。

USB自体がクロックのタイミング精度を確保することが技術的に難しい規格であることは以前からそれとなく耳にしていましたので、ケーブルであれこれ悩むぐらいならいっそ自分のシステムからは排除してしまえ、と。

実際に行動に移す前にメーカからAES/EBUが出力可能なPCI-Eカードを借りて、少なくともPCI-EカードにAES/EBUを吐かせる方が手元のどのUSBケーブルよりも音が生々しくなることは確認しました。ただ、この点は環境依存の部分もあると思います。

コンバータのリクロック技術も年々向上していると聞きますし、いずれUSB方式の粗ごときに影響を受けないI/Fが主流になれば、デジタル・ケーブルにこだわる必要はなくなるかもしれません。


USBケーブルに差があるか否かという話は聞いたことがあるのですが、USB意外との比較は考えたこともなかったです。しかしそこまでの違いがあるとは・・・新たな知見を得られました。(これを沼とも言う)
それでは、モニタ・コントローラについてもお願いします。


NOS McONEを使用しています。イスラエルのガレージ・メーカによるパッシブ・スイッチです。噂では、過去にWavesでハードを設計されていた方によるメーカだそうです。



Wavesもイスラエルですもんね。



スピーカが複数になったのを機に導入を検討した折、その頃の有名どころでは初代Big KnobかPresonusの2択であったかと思います。それより上になると、SPLのものはやや高額でした。 

普及製品と価格帯の近いMcONEがGearsltuzで好評でしたので購入してみました。比較対象がないので音についてはあまり語れませんが、感触のガレージメーカ感は抜群です。



その④へつづく⇨こちら


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