anison
本一冊読んだからってすぐ作れるなんて甘いモノではないことは重々承知ですが、少しでも得られるモノがありそうなこと、アニソンの制作現場の話にも興味があったこと、更にはkindleでセールしていたのがトドメとなり、読んでみました。

結論からいうとめちゃめちゃおもしろかったです。オススメ。

作詞や劇伴などのお話もあるのですが、今回は作曲や編曲について語られた部分を主にご紹介。




内容

アニメソング・劇伴の製作者さんのインタビュー本で、プロデューサー、作編曲家、作詞家、音響監督と様々なポジションの方々がインタビュー形式で語る濃密な内容となってます。

ノウハウについても語られているんですが、詳細な内容ではなく、全体を俯瞰して普遍の真理のような経験談、考え方など。人によって気づくポイントというか、得られるものが違ってくるのではないかなとも思いました。

ざっくりしたヒントが散りばめられているので、プロの視点というかやり方を垣間見ることができます。

劇伴やりたければ音大に行ったほうが良いといったような現実的な視点でも書かれていたりして、完全に独学のわたしは改めて考えさせられたりもしました。



ちなみに巻末でインタビューに応えている佐藤純之介さん(@junnoske_suite)は世界屈指のシンセマニアです。
程度の良いFairlightCMI IIIがすごいw


佐藤純之介 : 藤本健の“DTMステーション”

佐藤純之介さんのシンセサウンドが聴けます。waldorf Pulse2を使ったそうな。





メロディを重視している
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ルーツはビーイング

ランティスの副社長 伊藤善之さんは、ニューウェーブやテクノの人だったらしいんですが、プロ作家時代にビーイング系アーティストの曲を聴きまくっていたそうです。

ランティスという会社を作ったときに、やるべきことはそこだなと思いました。メロディがすごくいいんですよ。もともと僕はメロディをそれほど重視してはいなくて、サウンドの人だったんですね。メロディなんてどうでもいいと思っていた(笑)。でも、誰でも覚えられるメロディを持つビーイングの音楽は素敵だなと思って、なぜあれほどクオリティの高いポップな音楽を量産できるのかを知りたかったんです。それでビーイングの音楽をたくさん聴きました。
 
ぼくもビーイング系が大流行したときに思春期だったので、刷り込まれてます。カラオケでもよく歌ってましたし、今でも聴くくらいビーイング系大好きです。織田哲郎さん完全に神がかってましたね。

【90年代J-POP】ビーイング系アーティストの名曲 10選 / B’z・WANDS・ZARD・大黒摩季など | ロケットニュース24

WANDS推し。上杉昇さん歌唱力パないです。


Aメロで良い曲かどうかわかる


ランティスのチーフプロデューサー 斎藤滋さんの伊藤さんからシゴかれた話wでも今はそれがわかるとのこと。

サビも大事ですが、良い曲ってAメロまで聴いたくらいで、大体“いける”とわかることが多いので、Aメロもやっぱり大事なんでしょうね。面白いもので何百曲、何千曲と聴いて、音楽を聴く作業に慣れてくると大体Aメロの時点でわかります。
 

伊藤に教わっていたころの話ですが、“デモができたので聴いてください”と曲を流すと、Aメロの前半くらいで、“これはダメ、これはイイ”って選ぶんです。僕は“全部聴いてくださいよ”って言うんですけど、“大体わかるからいいんだよ”って。それでも“最後まで聴いてください”って頼んで聴いてもらうと、“やっぱりダメだったじゃないか。わかるからいいんだよ”と言われました。
 
確かに、良い曲っていうか、自分が良いと感じる曲は、最初から引き込まれてることが多いですよね。最後まで聴かないとわかんないってことはほとんどない。


ゲーム音楽とアニメの劇伴の違い

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以前、ゲーム・ミュージックとアニメの劇伴の最大の違いは何かな?と考えたことがあるのですが、当時のゲームはセリフがなかったので、メロディがガンガン主張してるんですよね。ドラクエのI〜IVあたりとか、ファイナルファンタジー初期の音楽はものすごくメロディが立っているんです。だから、ゲーム・ミュージックって口ずさめるものが多いんですよね。
 

でも、それをそのままアニメに当てはめると、メロディがうるさすぎてダメなんですよ。ゲーム・ミュージックとしては大正解なんですけど。有名な映画でテーマ曲は知っていても、それぞれのシーンで印象的な音楽を口ずさむのって難しいですよね。背景音楽としてフワーっとしているものが多いので。

それは悪いことではないんですけど、もうちょっと面白くしたいなと僕は思っていて、作曲家の方にも“メロディを主張させるように頑張ろう”とお願いしています。
 

もちろん、セリフとぶつかりまくってもよくないんですけど、“聴いた人が後で口ずさめるくらいには旋律を入れましょう”ということはよく言っています。
 
ちょっとでも主張してやれ!っていう気概が伝わってきます。音楽は脇役じゃない。

ドラクエはⅡが好きです。何からなにまで秀逸な曲ばかり。

ファイナルファンタジーはⅠに名曲多し。


作曲はコピーも重要

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シンセ神、純之介教授のお言葉です。作曲ってどうやって勉強したら良いのか?という究極に素朴で、究極に聞きたい質問に答えてます。これは知りたいw

どうなんでしょうね……僕も作曲をしていて、過去には劇伴を作っていた時代もあったのですが、何かを習った経験というのはないんです。ですから、独学でも勉強すれば作れるようにはなると思います。そして勉強すると同時に、“こういう音楽を作りたい”というイメージを強く持ってもらうとすごくいいのではないでしょうか。


例えば、“あの作品のあのBGMみたいなかっこいい曲を作りたい”とイメージしたら、その曲をまずは耳コピして鍵盤で弾いてみて、“あの和音はこうなっていたのか”と理解したり、“ここは自分だったら手癖でこうやっちゃうかも”と自分の傾向を確認したりして、コピーから習作を作ってみるといいかもしれません。
 

佐藤純之介さんって独学だっとは・・・凄いですねw才能はもちろん、相当努力されたのでしょう。


コピーはめちゃくちゃ大事です。今、20代から30代くらいで活躍している優秀なアレンジャーの方の大半はカラオケの仕事を経験されているんですよ。カラオケの仕事で耳コピをしまくって、耳のセンスや練度を上げて、それを自分の作品のクオリティアップに生かしているんです。だから、すごくリアルな打ち込みができたり、ミックスの細かいところまで完ぺきにできたりするんですよね。
 

こういう経験は歌ものや劇伴問わず作曲に有効だと思います。耳コピもある程度やっていくとプロフェッショナルな領域に達するので、そこまでいったら作曲も自由自在にできるようになるんじゃないでしょうか。
 
耳コピ勢大勝利www耳コピしかできない・・・そんな考えは粗大ごみに出してしまいましょうw

「模倣は想像の母」ですね。



さいごに
制作するときの考え方や心構え、判断基準、ちょっとしたノウハウ的な部分もあってとても楽しめます。

使用機材も随所に見られて「へーこんなプラグイン使ってるんだ」という面白さも。

プロになるには?という視点でも書かれているので、中高生等の将来作曲家のタマゴにも非常に有用ではないかと思います。

アニソンだけではなく、プロの世界がどういったものなのかということに興味がある方にもオススメできる本です。

ではでは。





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